桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2024/04/16
南極の氷



 世間さまに嫌われることは書くまい、と考えていました。ところが、久しぶりに面白
いニュースに触れたので、あえて以下、ヒトが眉をひそめる少数意見を申し述べること
としました。

 この数年、地球温暖化のせいで猛暑と暖冬が繰り返されているように見えます。関連
して騒がれてきたのが、南極そのほかの氷が大量に溶融・崩壊し、海面水位の大幅な上
昇を招く、という仮説。海面水位の上昇は海岸線を浸食し、港湾都市などは水浸しにな
る、大阪湾の上昇で枚方あたりまでが浸水する、あるいはモルディブやツバルなどの島
嶼国、イタリア北部の水上都市ベネチアなどは近い将来、水没してしまう、というもの
でした。

 温暖化論者やマスメディアがあおり続けて30年、仮説は少しでも当たったか。モルデ
ィブやツバルやベネチアは今も健在で、大阪湾の水位はほとんど変わっていない。なぜ
か。その理由を、米紙ウオール・ストリート・ジャーナルのオピニオン面でスティーブ
ン・クーニン教授が解説していたというのです(私と同じ懐疑派のサイトで解説記事の
所在を知りました)。

 記事によると、南極の氷が溶け出す量は、1980年代は40ギガトンだったが、2010年代
は250ギガトンと、30年で6倍に増えた。1キロトンの1000倍が1メガトン、その1000
倍が1ギガトンなので、溶ける氷の増え方は半端ではなく、海面水位の上昇は数十セン
チどころか数十メートルに及ぶ恐れもある、といったあたりが温暖化論の主張でした。

 しかし、観測と計算に従えば、南極の氷の総量は2650万ギガトンで、毎年その1万分
の1以下の2200ギガトンが融解し、ほぼ同量の雪が積もって氷になる。溶け出す氷の量
が増えたとはいえ、2010年代の年間250ギガトンの溶融は地球上の海面水位を0.6ミリ上
げるだけ。こんな潮の干満による海面の上下に紛れ込むような変化しかないのに、250
ギガトンという単位が錯覚をもたらし、1万倍以上の2650万ギガトンの氷がずっと南極
には残っているというシンプルな事象は(故意に)隠されている、といった趣旨の指摘
です。

 南極の氷が全部融けたら、地球上の海面水位を平均58メートル上げるのだそうです。
温暖化論者は極端なことばかり言います。私は普段「絶対」という言葉は極力使いませ
んが、南極の氷の全部どころか半分どころか1割いや1%ほどでさえも融ける、などと
いう現象はまず絶対に起こらない、と考えています。

 台風も1990年代から「温暖化のせいで発生個数は増え、大型化し、東アジアに一段の
災厄をもたらす」と騒がれてきました。南極の氷と同様、これもウソです。気象庁がH
Pで公開している通り、1951年からの73年間、若干の増減はあるにせよ、年平均の台風
発生件数は21.8個。10年単位なら1960年代〜80年代が少し多く、90年代は平均、それ以
降は減っています。つまり73年間、台風の発生個数はほぼ横ばいで、とくに温暖化の不
安があおられてきた90年代以降は逆に減っている、ということです。

 台風の大型化については比較できる公表データが見つからなかったので何とも言えま
せん。ただ、20世紀半ばの室戸台風、枕崎台風、伊勢湾台風、ジェーン台風などでは最
低気圧が900ミリバール(=ヘクトパスカル)以下を記録することがあった半面、近年
は台風とみなされた時点で900ヘクトパスカルを割り込むことはほとんどないことが、
一つのヒントかもしれません。
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