桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2024/03/18
美山かやぶきの里



 今回は京都府南丹市の「美山(みやま)かやぶきの里」に出向きました。旧美山町の
北という名の集落。民家約50戸のうち39戸がかやぶき(茅葺)の屋根を載せています。
国道9号の園部から山間部の府道を車で北東に30分ほど走ると、由良川に面した広い農
耕地が開け、ひと揃いのかやぶき民家群が見えてきます。思わず「おお」と言ってしま
ったほどの、いい景色でした。

 世界遺産にもなった岐阜・白川郷の合掌造りは、大家族が住む大規模な木造建築で迫
力があります。一方、美山のかやぶきは屋根裏を合わせた2階建てで、いうなら普通の
民家。半数ほどは江戸時代の建造で、こうしたかやぶき民家群がまとまって現存してい
るのは珍しく、約30年前、国は「重要伝統的建造物群保存地区」に指定。さらに、美山
を含む府中部の広い山間部は8年前「京都丹波高原国定公園」にもなり、主に府が管理
して整備が進んでいます。

 私が現地入りしたのは、園部に用向きがあった平日の午後。天気が良かったこともあ
り、車から降り立った少人数のグループが三々五々集落内を歩いていました。ところで
、駐車場でもらった「かやぶきの里 散策マップ」を手にぶらついていると、中にこん
な一文がありました。

 「景観を支える農村の暮らしを守りながら、生活をしています。毎朝、お地蔵さんに
花を供えるおばあさん。畑仕事の手を休め、野菜の様子や世間話に花を咲かせる村の人
たち」――。

 観光客向けとはいえ、集落に住む方々にとっては、読みようによっては演出を感じさ
せる「余計なお世話」めいた「村の紹介」です。私がひねくれているせいもありますが
、よそ者が(しかも平日に)こんな散策マップを持って集落内をウロウロするのは、集
落の方々にとって好ましいことなのかどうか。

 地域おこしのための、地元の総意としての「観光客歓迎」だとは推測できます。和食
レストランや民宿もあります。しかし、私がここに住んでいて、日を問わず、大勢の観
光客が見物に来るようになったとしたら、避難したくなるのでは? いや、避難先・転
居先もなく、先祖伝来の家を守るしかないので、黙って我慢している?――。帰りぎわ
、一帯を見渡していると、道にも田畑にも地元住民の姿がほとんどない、かやぶき民家
群の大半が不機嫌そうにうずくまっているようにも見えました。
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