桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2023/11/02
明日香村



 10月下旬、季節がいいので奈良・明日香村を歩いてきました。飛鳥宮があった一帯に
は面白い史跡等がたくさんあります。今回の目的は、多数残っているナゾの石造物めぐ
り。

 朝10時、近鉄岡寺駅から南西2キロほどの「益田岩船」へ。使い方を教わったスマホ
のグーグルマップに登録すると、驚くほど正確に道案内してくれました(現地は橿原市
)。丘の中腹にある「岩船」は、横11メートル縦8メートル高さ5メートルほどの石英
岩の上部に、四角の穴が2つ並んでいます。人手で刻んだのは明らかで、古墳関連の一
部か祭壇か天体観測用の台座か。テコや滑車で巨岩を動かすことは大昔から分かってい
たようで、一説には、石英岩の何らかの加工に失敗し、動力で90度転がして放棄したも
のでは、との推測もあります。

 続いて、東に向かって近鉄の線路を越え、「鬼の俎(まないた)」「鬼の雪隠(せっ
ちん)」へ。こちらは古墳の石室のフタが「俎」、土台が「雪隠」という見立てが固ま
り、宮内庁管理の標識もあるほど。ただ、元は2つが一体だったとしても20メートルほ
ど離れたのは何故か、などと空想させる余地はあります(大洪水か大地震か)。

 さらに東に歩けば「亀石」。縦横厚さ2メートルほどの花崗岩の下部から亀が顔をの
ぞかせるユーモラスな造形で、地域の境界を示す道標だったとの説が有力。とはいえ、
大きな亀の顔を道標にした理由を想像すると楽しくなります。

 ところで「亀石」の近くには立派な建物があります。以前そばを歩くたびに同行の家
族らに説明し、一度もウケたことのない冗談を思い出しました。「あれが明日香小学校
(これはホント)。厩戸皇子(聖徳太子)が第1期生で入学し、庶民に交ざって勉強し
ちゃんと6年かけて卒業したらしい」――。

 そこから北に向かえば「酒船石(さかふねいし)」。丘陵の中腹にある酒船石は長さ
6メートル幅2メートル厚さ1メートルほどの一枚岩で、表面にUSBポートのロゴの
ようなデザインが刻んであります。名のとおり酒の醸造で用いた、薬の調剤で使った、
何らかの儀式に用いた、水を流す庭園の遊びの仕掛け? など諸説あります。正体は今
も不明ながら、最近は「水遊びの仕掛け」説を支持する向きが多いようです。

 その間近、2000年の発掘で見つかったのが「亀形・小判形石造物」。湧き水の跡があ
り、水を小判形から亀形に流す仕掛けがあるとのこと。伝飛鳥板蓋宮のそばで、斉明天
皇(女帝)が、水を用いる宮中の祭祀に使ったのでは、との解釈が強まっているようで
す。現地で待機していた案内ボランティアの男性と10分ほど立ち話し、さまざまに教わ
りました。

 徒歩すぐの飛鳥寺そばには、大化の改新で中大兄皇子と中臣鎌足に殺されたという蘇
我入鹿の首塚。その北西には、中大兄皇子が造ったと伝わる本邦初の石造りの「水時計
」跡もあります。

 水時計跡から北へ歩き、藤原京跡を越え、耳成山そばの「あすかの湯」まで歩いて入
湯。スマホをみると歩数3万2千を超えていました。明日香はいつ来ても水音があちこ
ちから聞こえ、瑞々しい(水々しい)風景が続きます。南側の山塊から藤原京に向けて
緩い斜面が続き、史跡や田んぼの脇を流れる水路にはいつも多量の清冽な水が流れてい
ます。閑話休題で失礼しました。
お問い合わせ
■高田社会保険労務士事務所/■〒612‐8083 京都市伏見区京町6‐51‐1 ハイツ美好103/■TEL&FAX 075-748-6068/携帯電話090‐9881‐5702

メールでのお問合せ