桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2023/02/03
旅する社労士



 AMという女性社会保険労務士(52)が1月中旬、詐欺で警視庁に逮捕さ
れました。直接の容疑は2021年、コロナ禍のあおりで労働者の休業を余儀
なくされた事業主に対する雇用調整助成金約400万円を東京労働局からだま
し取った、というものです。  続報がないので調べがどうなっているのか分かりません。警視庁の発表で
は、10社ほどの雇調金代行申請で3000万円の受給関与を示唆し、一説では
100社の代行申請で4億7000万円を不正受給したという観測もあるようです。
記事には、着手金8万円を受け取っていたという、何のことか分からない前
受金のことも出ていました。

 しかしそんなキナ臭い情報より、同業の私の目にとまったのは、このAM
社労士は「旅する社労士」を自称し、「助成金を代行申請して全国の社長さ
んを支援」することを宣伝していたらしいことです。  「旅する社労士」はAM社労士が各地を巡り、効率的な助成金の獲得を弁
舌巧みに勧めて回っていたことを示すもののようにみえます。確かにきょう
び電話とメールと郵便を使えば、遠距離であっても助成金の代行申請や労務
人事の出入り手続きは可能です(労災申請はまず無理ですが)。
 しかし社労士は基本、ドロ臭い地域密着型。少なくとも私は、相手方と面
談し、先さまの顔をみて、継続的に直接打ち合わせしないと手続きなどをお
手伝いしている実感が湧かないし、事業所にぢかに入らないと何らかのご提
案やご指摘もできないようにも考えています。何かあればすぐに駆け付けた
いですし。  つまるところ「旅する社労士」など、まるで「ログハウスを日曜大工で作
る暴力団組員」とか「天体観測が趣味の詐欺師」のような、不自然かつまと
もな実在が疑われる形容矛盾に近い表現とも言えます。左の例え二つは、佐
々木譲さんの短編小説にあった言い回し。面白かったので、これを最後に持
って来るためにAM社労士のことを書きました。
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