桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2023/01/18
映画を5作



 ネタがないときは映画頼みということで、昨年末以降、合間に観たレンタルDVD計
5作(8本)の短評を並べます。ご容赦願います。

■荒木哲郎監督 『進撃の巨人 劇場版・前編 紅蓮の弓矢』/『劇場版・後編 自由
の翼』

 諌山創さん原作の劇画。少年マガジンで2009年に始まり、2021年に完結した34巻139
話のダーク・ファンタジー。と知ったふうですが、私は劇画、テレビアニメ、テレビゲー
ム、ミュージカル等にも広がったシリーズのことは何も知りません。しかし、若い世代の
評価は低くない。そこで、手っ取り早くテレビアニメの1〜13話を編集した劇場版・前編
(2014年公開)と14〜25話をまとめた後編(2015年公開)を借りました。  10メートル級とか15メートル級とかの裸の巨人が、高さ50メートルの防壁の内側にい る人間を喰うために侵入し、彼らを撃退・撃滅せんとエレンほかの兵士たちが立ち向か います。巨人とは何か、なぜ人類(国籍や民族の区分けはナシ)を襲うのか、巨人と戦 うために巨人化する兵士など、ナゾが多数あります。ただ、画面に迫力があり、人類の群
像も描き分けられ、計4時間退屈しないままでした。  劇場版の前編、後編を観た後、ウィキを覗くと、シリーズの全容と細部に立ち入った 膨大な解説が載っていました。しかし、こちらにマニアっぽい興味はなく、異世界を舞台
にしたモンスターと人間のファンタジーということで、昨年DVDで観た『鬼滅の刃・無
限列車編』と同じように、深く考えることなく観賞。レンタル店に並ぶテレビアニメ版を
借り出すほどの執着は持たない半面、ダイジェストともいえる劇場版はあと2本あり、楽
しみは続きそうです。 ■アンドレイ・クラフチュク監督 『バイキング 誇り高き戦士たち』  ロシアのルーツは、古代の北欧に勃興したバイキング。その末裔の3兄弟が10世紀ご ろ今のウクライナ一帯に割拠し、やがて血で血を洗う戦いに没入、ついに末弟のウラジ ーミルが勝利してキエフ大公国を治める。そんな物語を神話活劇風に描いていくロシア 映画です。もっとも、戦闘シーンが連続するものの、敵味方の見分けがつかず、誰がど うなったのかも呑み込みにくく、筋が追いにくい。最後には、ウラジーミルがローマ教 皇に許しと救いを求めて憎しみを水に流すことを皆に求める、という正直かなり強引な 幕引きのように見受けました。  この映画は2016年の公開後、ロシア興行史上最多の観客を集めて大騒ぎだった由。映 画評のサイトでは「こんなB級アクション映画がロシア最大のヒット作になるとは」と 呆れる声があります。しかし、今になって事情は窺えるような気もします。2014年に ウクライナの政権交代でこの元同盟国が英米側に付いて反目を強めるなか、『バイキング』 はロシアの国威発揚、愛国心の高揚につながる、格好の娯楽作になったのでは、と推測 できるように思えるからです。ロシアでのヒットは「キエフ大公国はベラルーシ、ロシア、
ウクライナの文化的な共通の祖先。離反せず、3国の結束を固めよう」という、ロシア側 の民衆心理がもたらしたのでは、と考えました。 ■上田義彦監督 『椿の庭』  カメラマン出身の上田監督が、海辺の一軒家で暮らす老婦人(富司純子)の姿を静か で落ち着いた映像に収めた、小ぶりの映画。2021年4月の公開。夫を亡くした直後の老 婦人のもとに、一軒家の売却の話が舞い込み、老婦人はそれに抵抗しつつも、やがて受 け入れていく、というシンプルなストーリーです。カメラワークがシブめながらも鮮や
かで、余韻を残す上品な一作だと思います。 ■飯塚健監督 『ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち』  長野冬季五輪(1998年)のスキージャンプ競技の選手になれず、本番に備える裏方の テストジャンパー25人の姿を描いたドキュメンタリータッチの邦画です。2021年6月公 開。西方という実在のテストジャンパーが中心になっており、描写もリアルですが、ジ ャンプ団体で日本が金メダルを取るという事実を上回るインパクトがなく、出来具合は可
もなく不可もなく。 ■萩庭貞明監督 『難波金融伝ミナミの帝王1 トイチの萬田銀次郎』/『ミナミの帝 王2 計画倒産』/『ミナミの帝王3 金貸しの条件』  Vシネマで大ヒットしたという萬田銀次郎(竹内力)を主人公とする豪快でやんちゃ な金貸しの連作ドラマ。1992年から2007年までに全60本が公開され、レンタルビデオの 貸し出しではずっとトップを走っていた由。今回は92年公開の1と2、93年公開の3を (今ごろ?)借り出しました。  予想した通りの早いテンポ、故青木雄二さんの漫画『ナニワ金融道』とは少し違った タッチのマチ金の生態の描写など、つまらなくはなかったとは思います。とはいえ、始 まったばかりのシリーズのためか、主役の竹内力も、1、2作目の舎弟役柳沢慎吾も大 阪弁が不自然でお話にならず、興ざめ。3作目の舎弟大森嘉之は大丈夫でしたが。
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