桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2021/07/18
ことば寸評 その2



 今回は最近、気になったり、首をかしげたり、笑ったりした6つの
ことばについて寸評を並べます。映画観賞記録と同様、手抜きでつな
ぎ風のコメントとなりますが、ご寛恕願います。  【ほぼほぼ】 だいたい同じ、ほとんど等しいみたいな時に使うヒ
トが多いようです。建築や電気工事業の経営者に会うと、大抵が「ほ
ぼほぼ同じ(程度の工事)」とか「従業員2人の残業時間はほぼほぼ
変わらず」みたいに口にされます。昔はなかったことばでは、と思っ
て調べると、三省堂の「今年の新語2016」大賞に選ばれていたのが
「ほぼほぼ」。5年ほど前の全国的な流行語だったということです。
私は世事にうといので全然知らず、関西の工務店特有の業界用語かと
思っていました。「ほぼほぼ」と口にする折の経営者の口元が笑って
いるように見えるのも面白く思えます。  【知らんけど】 知ったかぶりしたり、決めつけたりした後、ひと
呼吸置いて「知らんけど」で逃れたり、ごまかしたりします。この20
年ほど関西圏で流行している「最強の逃げことば」だそうです。吉本
系の若手芸人が口癖のように使って広まった、との説が有力。長く関
西に居住する私は使ったことはないものの、関東方面の「知らねえよ
」とか「存じ上げませんが」みたいな突き放したニュアンスはなく、
マイルドな語感があるようです。知らんけど。  【はんなり】 京都でよく使います。KBS京都ラジオはしきりに「
はんなり京都」と言ってますし、「はんなり大阪」とか「はんなり神
戸」とはほとんど言わない。語感からは、柳の枝のようなしなやかさ、
又は女性的でナヨナヨした気配を想像させますが、調べると「はんな
り」は「上品で明るく陽気なこと」又は「落ち着いた華やかさ」。し
かし「上品」と「明るく陽気なこと」は両立するのかどうか。陽気に
なると一段と下品になるヒトは珍しくなく、上品さを守って明るく陽
気に振る舞うなんて相当に高度なテクニックが必要では? 余人には
難しい芸当です。「うらなり京都」なら分かりますが。  【可及的速やかに】 昔から目にします。しかし「可及的」の3文
字がいまだによく分からない。「出来るだけ速く」ということでしょ
うが、ならそう言えばいい。「可及的」などという、小難しいお役所
言葉をまぶしてもっともらしく見せようとするのは、もうたいがいに
したく思います。「なるだけ速く」を「なるはや」と言ったりする(
気持ち悪いので私は使ったことはありませんが)用法に従えば、「可
及的速やかに」は「カキュスミ」でしょうか。  【同視する】 法律関係でよく出てきます。ちまたでは「同一視」
で通じるところを何故か「同視」という、日常的にまず使わないこと
ばに換えるようです。労働法関係でよくみるし、聞くところでは構造
力学方面でも頻出するとか。思うに、この「同視する」は自動詞だか
他動詞だか分からないというか、「同じように視る」と「同じように
視られる」のどちらの意味なのかとっさには分からない、法律用語に
しては曖昧なことばです。だから、誰も普段使わないのです。  【過激すぎる】 以前この欄で、ネットやスポーツ紙の見出しでよ
く出てくる「美し過ぎる」「有能過ぎる」の「過ぎる」は余計だ、「
美しい」「有能」でいいではないか、とケチをつけたことがあります。
しかし、考えてみると、見出しに「美しいアスリート」では芸がなく、
「美し過ぎるアスリート」にせざるを得ない編集サイドの事情も分か
り、「過ぎる」「過ぎる」のオンパレードも前ほど気にならなくなっ
ていました。しかし、某スポーツ紙ネットニュースの小見出しにあっ
た「過激すぎる」はない、と思います。
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