桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2021/07/03
また映画4本



 またドサクサまぎれにレンタル映画を4本。ジャンルばらばらながら
も、忙中閑ありで楽しめました。 ■山崎貴監督 『アルキメデスの大戦』  三田紀房の同名の長編漫画をもとにした第二次大戦中の軍記フィクシ
ョン映画。2019年7月の公開。ゼロ戦による特攻を描いた『永遠の0
(ゼロ)』に続く、同じ監督の軍記フィクション実写化といったとこ
ろ。それなりに面白く観ることができました。  1930年代、帝国海軍内の主流派「大艦巨砲主義」に沿った巨大戦艦
の建造構想に対し、山本五十六ら反主流の「航空母艦主義」派が、櫂
直という天才数学者の力を借りて建造計画に潜む不正を暴き、主流派に
ストップをかけます。しかし「戦艦大和」は結局、建造され、沖縄に
向かう途中の九州沖で撃沈されますから、計画自体は生き残ったわけで その史実とフィクションをつなげる理屈がなかなかにうまい。CG撮影
の株式会社白組の仕上げよろしく、こちらも感心しました。 ■サイモン・ハンター監督 『イーディ、83歳、はじめての山登り』  2020年1月日本公開の英国映画。ロンドンで30年間、夫の介護に明
け暮れた老婦人イーディ83歳は、夫の死の直後、若い頃父から誘われ
た、スコットランド高地のスイルベン山への登山を決意し、単身北上し
ます。誇り高く、頑固なそのイーディが現地の青年ガイドの指導を受
け、ついに山頂に立つまでを描くヒューマンドラマ(フィクション)と
いう次第。  私は山歩きが好きなので、レンタルDVDのケースを見て即借り出し。
シーラ・ハンコックという撮影当時83歳の老女優が実際に歩いて登る
スイルベン山の風景は美しく、山歩きの息づかい、天候の変化の描写な
ども現地ロケだけにリアルかつ楽しく感得できました。  調べると、英国本島(大ブリテン)の最高峰は同じスコットランド高
地のベン・ネビス山(1344メートル)で、イーディが登ったスイルベ
ン山はそれより低い。例えるなら、京都の公家筋の老婦人が琵琶湖北東
の伊吹山(1377メートル)に西側スキー場側の登山口から登るような
もので、過酷な山道ではないとはいえ、ろくなトレーニングもしていな
い83歳が登っていくというフィクションはいささか強引な設定のように も思えます。 ■ポン・ジュノ監督 『パラサイト 半地下の家族』  カンヌ国際映画賞パルムドールを受賞した韓国映画をレンタルながら
もようやく観終えました。うわさ通りに面白く、楽しく、かつ韓国社会
の格差を衝く批判意識もうかがえ、米国のアカデミー賞作品賞等を受賞
したのも、むべなるかな、といったところです。  ストーリー等はよく知られているようで、くだくだしくは記しません
が、ソウルの最下層の一家4人が、IT企業の経営者夫妻が住む豪邸に
「寄生」するまでの喜劇と、ラスト近くの貧者側からの報復の悲劇をつ
なげ、独特で、しかも無理のない構造にしています。 ■ふくだももこ監督 『おいしい家族』  2019年度の邦画ベストワンに推す映画好きも多い、と聞く個性的な
フィクション。作家も兼ねるふくだ監督の短編小説を下地にしたらしい、
ヘンな物語です。東京で暮らす女主人公は、離島(映画のロケは伊豆新
島)に里帰りし、学校の校長を務める父が女装し、さらに母の三回忌を
機に、同居する年下の男と「再婚」する、と宣言します。  LGBTのどうとかで昨今珍しくもない話とはいえ(離島では十分に珍
しいでしょうが)、その不思議なカップルの誕生が、離島の自然に溶け
込み、おおらかな島民に祝福されていくさまの描写がうまく、ゆっくり
したテンポながらも、退屈させることなく淡々と話は進みます。印象に
残る一作でした。
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