桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2021/03/03
テレワーク?



 「テレワーク」という言葉が流行っています。一般社団法人・日本テレワーク協会のホームページによると、テレワークは「情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」。多種多様な世間の仕事をみていれば、「場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」ができる、または許されるのは常識的に考えて一部です。ですので、私は「テレワークは過大に語られている」とみて、微力ながら、ブームに水を掛けよう、と思うに至りました。

 テレワークはテレワーク協会のHPでは三つに大別されます。一つは「在宅勤務」。会社や出先に通うことなく、家でパソコン等を使って仕事します。二つは「モバイルワーク」で、電車や新幹線、飛行機、合間に駆け込む喫茶店などでやはり情報端末を活用して仕事します(若手を中心に既に珍しくはない光景です)。三つは「サテライト/コワーキング」で、衛星拠点やコワーキングスペース(共同作業場?)で仕事し、リゾートなどバケーション(笑い)も楽しめる地域でテレワークを行うこと、とあります(カッコ内は私のコメント)。

 つまり、テレワークと呼んでおかしくないのは、オフィス内外でパソコンやタブレットを主に使っていても仕事になる、小ぎれいな、コジャレたホワイトカラーの領分と読み取れます。嫌味をいえば、大卒のインテリが、日がな1日パソコンを触っていても仕事になる、という「現場のない、現代的な仕事」です。

 一方、社労士、少なくとも私が本業でお手伝いしている相手方は、ざっと挙げても工務店、リサイクル、整骨院、美容院、訪問介護、グループホーム、貨物運送業、旅客運送業、遺跡発掘調査支援、清酒蔵元、飲食店、小売店、印刷業など。いずれも顧客とぢかに向き合う、現場で汗を流す、ヒトやモノをぢかに運ぶ・扱うといった、具体的、直接的な業種が大半です。一部にIT関連のベンチャーもあるものの、多くはどう工夫してもテレワークに移行できる部分は大きくはないように思えます。

 といった次第で、私は日ごろ中小零細企業の事業主とは「テレワークっていうのは、事務系の大卒エリートの話とちゃうか? オレらには関係ないわ」と笑い合っています(むろん、取り入れられるなら取り入れよう、という事業主もおられます)。つまるところ、今回のテレワークブームは、5年前のマイナンバー本格導入時の内閣府・総務省及びソフト開発業界による「大騒ぎ」に似ています。

 「パソコンの画面でマイナンバーを表示すると、後ろから覗かれる」「マイナカードには大量の個人情報が収納され、あらゆる取引や届出がカード1枚で処理できるようになる」「マイナンバーを示した後はマスキングで数字を隠す」――。行政はあおりまくり、情報管理ソフトを売りたい一心のソフト開発会社は、時期尚早の機能を抱えたソフトを宣伝し倒しました。言葉巧みに、法外な価格でソフトを買わされた中小零細の事業主もいます。

 テレワークも同列。共通するのは、大きな組織(官公庁や大企業)に生息するスーツを着込んだ一群で、ドロ臭い、3Kの仕事に重きを置こうとしないエリートの方々が旗を振っていることです。官公庁は管理強化、大企業はビジネスチャンス(儲けるタイミング)を掴むために大袈裟に喧伝します。滑稽な光景です。
お問い合わせ
■高田社会保険労務士事務所/■〒612‐8083 京都市伏見区京町6‐51‐1 ハイツ美好103/■TEL&FAX 075-748-6068/携帯電話090‐9881‐5702

メールでのお問合せ