桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2020/05/18
雇用調整助成金



 コロナ禍で窮地に陥った企業を支援する「雇用調整助成金」が話題です。17日のあるテレビ特番でも、街頭インタビューで市民・中小企業サイドの複数の声が紹介されていました。

 「申請方法が複雑・面倒で、国は本当にお金を出す気があるのか、と勘繰ってしまう」「申請してもなかなかお金は出ないらしい」「行政書士とかに頼んでやってもらっても、結構な手数料を取られてしまう」――

 「コロナ特例」で対象が広がった雇調金は、私も代行社労士として一部申請済み、一部申請の準備を進め、一部企業側の判断待ちという案配で混乱のただなかにいます。厚労省がらみでは「小学校休業等対応助成金」や「働き方改革推進支援助成金・コロナ特例」等も登場しているものの、企業支援の代表格として雇調金を求める事業主は多く、労働局も受付窓口の増員などで対応に追われています。( 厚労省の雇調金のサイト: 
http://m.mkmail.jp/l/i/nk/pq9dnhis0mlh )

 しかし、厚労省や労働局の肩を持つ気はないにせよ、上記の街頭インタビューほかでは、役所に対する不平・不満や批判・非難だけを編集している気配が窺えます。というのも、こと雇調金に関しては、当局にあまり無理は言えない一面があるようにも思えるからです。

 申請書類が複雑怪奇でシロウトには準備できない、という不満は、数回に及ぶ申請マニュアルの見直しで、対応項目は従来の半分以下にシンプルになっています。週明けにはもう一段の特例措置が公表されるようですし、厚労省側も出来る範囲で審査要件のハードルを下げています。これは「変な申請」が交ざってくるリスクへの備えより、世論や政治からの圧力とはいえ、企業支援という政策目的を優先させているからだともいえます。

 時間がかかるのは、件数の多さからやむなし。京都の労働局助成金センターはすでに予約制になっており、窓口持参の申請はかなり先まで順番待ちで、片や郵送での申請もOK。申請側が現実の会社都合休業に即して休業手当を支払い、帳簿を付け、申請マニュアルに従って書類をきちんとまとめて郵送すれば、窓口で掛け合って申請するより処理時間はよほど速い、と聞きます。

 一方、厚労省関係の助成金申請を業として代行できるのは社労士(と弁護士)だけで、行政書士がここをグレーゾーンとみなして入ってくると社労士会が待ったをかけます。また「結構な手数料」とは、代行手数料が自由化される前の「受給できた助成金の20%」辺りのことでしょうが、例えば私などは、そんな法外であざとい手数料など、出すといわれても受け取る気はありません。

 助成金は、キャリアアップや以前の職場定着支援のように一定の事業計画に取り組むだけで定額が受け取れる「純益型」と、支払った費用や賃金を後から国がカバーする「補てん型」に大別されます。雇調金は補てん型の典型で、苦境にある企業から当然のように2けたパーセントの手数料を取ろうとするのは、あこぎです。
お問い合わせ
■高田社会保険労務士事務所/■〒612‐8083 京都市伏見区京町6‐51‐1 ハイツ美好103/■TEL&FAX 075-748-6068/携帯電話090‐9881‐5702

メールでのお問合せ