桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2020/03/03
奈良ラーメン



 「ご当地ラーメン」は、大抵がおいしく思えます。北は旭川から南は沖縄まで。「根室ラーメン」は魚介のダシが効いていそうですし、「琉球ラーメン」は小麦粉だけの「沖縄そば」の応用ということで、楽しめそうです(実際のあるなしは別です)。各地の街の名を冠したラーメンは、いずれも食材と調理法に個性と風情が期待できそうで、どれも美味しく思えてきます。

 ところが「奈良ラーメン」だけはそうは思えない、と喝破したのが、東海林さだおさんです。すでにご高齢の東海林さんは、1989年発表の旅行エッセイ「奈良よ!」で書いておられます。要するに「仙台ラーメンや神戸ラーメンと聞くだけで、いけそうな気がする。しかし、奈良ラーメンだけはイメージが浮かばない。仏壇にそなえたら似合いそうな、というイメージしか浮かんでこない」(『ショージ君の旅行鞄』)。実際、鋭く厳しいその指摘通りで、この件は以前、当メルマガの書評でも触れました。

 なぜそうなのか。私も住民票を置く奈良はお寺が多く、地元で人気のラーメンがあったとしても「法事の精進料理にフタ付きで出てきそうな予感」があります。何より、全国津々浦々で続々と生まれ、飽和状態のように思えなくもない外食ラーメン群像は各種コンテストや人気ランキング、グルメイベントなどで名を挙げようと競い合い、今も市場には若々しい活気があります。率直にいって、そんな活気が元々奈良にはなく、奈良ラーメンと言われてもピンと来ない、ということのような気がします。

 しかし、実際はどうか。チェーン展開を進める「天理スタミナラーメン」と「彩華ラーメン」は天理に本店を構えていますし、道頓堀店の大繁盛で大阪のラーメンと思われがちな「神座(かむくら)」もチェーンを束ねる株式会社理想実業の本店が奈良西部の広陵町にあります。

 とはいえ、天スタも彩華も神座も普通「奈良ラーメン」という括りにはしません。私はラーメンが好きで、各地に出向く折には選んで現地のラーメンを食しており、その経験に立てば天スタ、彩華、神座いずれも「奈良ラーメン」というより、「関西系ラーメン」風のどこか似通ったイメージがあります。奈良ラーメンを名乗る必要はない、名乗るとかえってインパクトが弱まる、ということでしょうか。

 今回もネタ枯れで、どうでもいいことを長々と連ねました。ご寛恕願います。

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