桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2019/03/03
働き方改革セミナー



 2月28日、同志社今出川で開催の中央労働委員会のセミナーに出かけてきました。「労使関係セミナーin京都」という恒例のイベントらしく、今回のテーマは4月以降、法改正で動き出す「働き方改革」。とはいえ、厚労省は盛んにPRしているのに、盛り上がりはいま一つ。私もある行政機関に非常勤出務している関係上、情報は入って来るものの、本業での客層にあたる中小企業には1年以上の猶予つきの項目も多く、正直、あまり切迫感はありません。

 というノンキな構えで参加したセミナー。ところが、近年活躍の目立つ土田道夫・同志社大法学部教授ほかの問題提起が面白く、引き込まれました。昨年末の入院騒ぎの後、事務的な作業で仕事をさばく他は、無理せず、ナンパ系の読本で時間を無駄づかいしています。そのためか、緩んでいるアタマを酷使するというキツい目に遭いましたが、セミナーでのいくつかの挑発的な発言を当欄に残しておくのも一興か、と考えました。

 例えば、厚労省は最近、民間企業の基本給、ボーナス、そして退職手当を規制する方向に踏み出しているようだ。最低賃金のクリアや時間外割増を法的に規制するのは許容できなくはないとしても、基本給、賞与、退職金は原則として労使間の協議・交渉およびマーケットで決まっていくもの。法による行き過ぎた介入は禍根を残す――。

 あるいは「同一労働同一賃金」は紛らわしい言い方で、誤解されやすい。非正社員に肩入れするあまり、契約期間に定めのない正社員の「厚遇」に歯止めをかけようとする考え方も目立ち始めた。しかし、旧来型の終身雇用を維持すべしとまでは言えないとしても、会社にとどまって長期的に貢献していく正社員を厚遇することの一体、何が悪いのか――。

 高度プロフェッショナル制度(特定高度専門業務・成果型労働時間制)が細かな要件付きで登場した。しかし、対象業務が限定列挙され、年間の見込み賃金が1075万円以上など、労働時間制度としては間口が狭く、使い勝手が悪いようにみえる。あのような制度設計ではなく、勤務間インターバル制度とドッキングさせた高度プロフェッショナル制度であれば、シンプルだし、使い勝手も向上するはず――。

 キリがないので抑えますが、社労士稼業丸5年で労働関連法規の理解が平板になっていたような気もします。勉強はいくら突っ込んでいってもマイナスにはならない。そんなことを実感したセミナーでした。

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