桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2018/11/03
危険地帯



イスラム武装組織に3年4カ月も「拘束」されていたというフリージャーナリストの安田純平さんが10月下旬、解放されました。拘束中から「制止を振り切って危険地帯に入ったのだから自業自得の自己責任」という批判が起こり、ネット上では帰国後もさまざまな疑念や中傷が流れています。安田さんはあす2日会見するとのことですが、確かにこれまでのところ不審な点も少なくなく、会見を待たずにとりあえずの勝手なコメントとします。

 まず原則論としていえるのは、たとえ無謀な行動によって捕らわれの身になったとしても、日本政府には苦境に陥った同胞を救出し、保護する義務があります。自己責任で内戦状態のエリアに入ったのだから、放置状態はやむを得なかったという声はあるにせよ、原則は原則。その意味で、今回の解放と帰国は悪いニュースではありません。

 また、フリージャーナリストを名乗り、これまでそれなりの記録・ルポを公表している限り、安田さんが危険地帯に潜入したことを無茶だとは非難できない、とも思います。経験と能力を持ったジャーナリストとして戦場の現実を知ろうと現地に深入りすることはありえますし、危険地帯では「節度を保った取材活動」などできません。何より、安田さんがとは言わず、記録する者が入り込まなければ、現地のことは外部には知られないまま、となります。その意味で勇気ある行動だったともいえます。

 しかし、安田さんの場合、何度も武装組織とされる勢力に拘束され、今回は3年以上も捕まったまま、だったということは現地入りした後、狙っていた取材はできなかったわけですから、報道の仕事としては失敗です。解放後「英雄扱い」するほどのことではないのでは、とも言えます。

 さらに、断片的ながらも、拘束中の近況報告風の動画や、機中でのインタビューで窺えた不自然さ、といって言い過ぎなら、どことなく「本当か」と思わせる作為の気配は残ったままです。身動きもままならなかった長期の拘束の割には元気そうだとか、拘束中の動画で映っていたススキのような植物はシリア内陸部には生えない、とか。2日に予定されているというご本人の会見で、それらの不自然さ、作為の気配が払拭されれば、と期待するしかないようにも思われます。

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