桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2018/10/02
映画を3本



久しぶりにレンタル映画を3本。つなぎ風にコメントを並べます。

 ■クリント・イーストウッド監督 『15時17分、パリ行き』(2018年3月公開)

 2015年8月に起きた列車テロ事件を取り上げたノンフィクションタッチの実話再録映画です。舞台は、15時17分アムステルダム発パリ行きの高速鉄道車内。乗り込んだ1人のイスラム過激派が銃を取り出し、暴れようとしたところを、乗り合わせた米国の若者3人が取り押さえ、ケガ人1人を出しただけで食い止めました。いわば無差別テロ未遂事件で、勇敢な3人にはフランス政府から勲章が与えられました。

 3人は米国西海岸で育った幼なじみで、兵士が2人、学生が1人。休暇を取ってヨーロッパを回る旅行を楽しんでいたさなかに出遭った事件です。映画は3人の子供時代から成人に至るまで、さらにヴェニスやアムステルダムで旅行を楽しむ様子を描き、合間にテロ犯との遭遇シーンを挟んで進みます。

 決定的に面白いのは、映画で主演するこの3人は俳優ではなく、事件を食い止めた当の「本人たち自身」だということです。テロ犯から撃たれて負傷した乗客とその妻も、当事者が出演。当然この5人は演技にはシロウトですが、映画制作側のトレーニングを受け、本人たちが事件の折の自分たちの行動を演じる、という前代未聞のキャスティング。5人とも、ぎこちなく見えるシーンはあるものの、覚えている2年ほど前の自分の行動を再現するわけですから、堂に入った(?)ものでした。


 ■ウディ・アレン 『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年公開)

 主にニューヨークで活躍する都会的な俳優・コメディアン・作家・音楽家・監督がプロデュースした、小ぶりで小粋な洋画です。

 米国に住み、フランスを旅行する作家志望の主人公がパリに滞在し、同行する婚約者と離れて夜の街を歩くうち、レトロなプジョーが近づいてきて連れて行かれる先が、1920年代のパリ。そんなタイムスリップ系のファンタジースタイルでストーリーが流れていきます。

 100年近く前のパリのレストランで主人公が紹介されるのはヘミングウェイ、フィッツジェラルド、T・S・エリオット、ピカソ、ダリ、マティス、マン・レイ、ゴーギャン、ロートレックら、当時パリの街で名を馳せた作家、画家たち。ウディ・アレンの郷愁を映像化したものかもしれず、軽めながらも面白く観ることができます。


 ■原田真人監督 『関ケ原』(2017年8月公開) 
 
 去年の封切を見逃したので、レンタルで追いつきました。2時間半の大作で、天下分け目の合戦に至るまでの石田三成と徳川家康の駆け引きを中心に、後半は小早川秀秋の寝返りを含む戦闘シーンが見せ場になっています。

 初芽という架空の伊賀女忍者を登場させたほか、関ケ原前の多数の武将の右往左往は、ほとんど司馬遼太郎さんの原作どおり。大谷吉継の動きや、戦闘に加わらなかった島津勢の帰趨などは説明不足ですし、東西どちらに付くかという小早川の葛藤ぶりは従来型の解釈を超えません。

 2時間半あっても、上中下3巻の『司馬関ケ原』を再現するには足りず、無理に説明を押し込もうとしたため、関ケ原または安土桃山期のことをひと通りしか知らない向きには物語は複雑で呑み込みにくかったのでは、と思います。

 合戦シーンも、東西20万弱が一帯に布陣し、戦闘に加わったのがその半分の10万だとしても、映像でうかがえるのは千人規模で、迫力不足。もっとも、昔の映画の合戦シーンのように「笑っているエキストラ」が映り込んでいないのは救いでした。
お問い合わせ
■高田社会保険労務士事務所/■〒612‐8083 京都市伏見区京町6‐51‐1 ハイツ美好103/■TEL&FAX 075-748-6068/携帯電話090‐9881‐5702

メールでのお問合せ