桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2018/09/02
水増し



 8月下旬、省庁や自治体で横行していた「障害者雇用水増し」のニュースが流れました。ひどい話です。省庁が昨年6月時点で雇用していたとする障害者6,900人のうち、ほぼ半数の3,460人が実態のない水増し。しかも、こうした水増しが40年前から続いてきた可能性がある、という次第で、あきれるばかりの「虚偽の報告」群といえます。

 一定規模以上の法人に義務付けられる障害者の「法定雇用率」は民間企業2.0%(4月から2.2%)、国や自治体は2.3%(同2.5%)。これに対し、昨年6月現在の民間の達成率は50%。ところが、国は97%で、障害者雇用促進法を率先して守ろうとしている、と説明されてきました。これがウソだったわけです。

 民間の場合、規模に応じた障害者雇用率の目安を達成できない場合、未達成1人あたり月4〜5万円の反則金(納付金)を徴収される一方(目安を上回った場合、月2.7万円の調整金を支給)、行政機関には納付金や調整金の「賞罰」の仕組みはなく、いわば数合わせを許容する状況にあるといえばあります。

 省庁や自治体の「弁明」をニュースから拾うと、「通達には『原則として』とあり、それを拡大解釈した」とするのが多いようです。どう拡大解釈したかというと、障害者手帳を確認せず、または手帳を持たない人も「外見や本人の申立で判断」という次第で、いわばお手盛りの水増しです。退職した人もカウントしていた、という証言もありました。

 省庁・自治体の人事課や総務課の面々が他の行政機関の様子をうかがいながら、または暗黙の合意のうちにこうした帳尻合わせを慣行として続け、一方では、民間に向かって障害者雇用にもっと励め、とアピールしてきたという構図になります。

 お役所、そして法規を守ったふりをする公務員のイヤなところ、セコいところが一気に表面化した、とずっと民間で暮らす私などは考えています。

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