桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2017/12/01
火焔型土器



京都国立博物館で開かれていた「国宝展」に行ってきました。仏像、書画、刀剣、服飾など多数の国宝が並ぶさまは圧巻で、入館者もすさまじい数。値打ちがあるから国宝なのか、国宝だから値打ちがあるのか、よく分からないまま、人波に分け入りました。気になったのは、ただ1点。「縄文のビーナス」の横にあった「火焔型土器」です。

5000年ほど前、粘土で作られた縄文中期のひと抱えほどの大きさの土器。出土したのは長野・信濃川沿いの縄文遺跡で、器のフチに炎のような突起が並んでいる、飾りの目立つ、あの縄文土器です。東日本を中心に200を超える縄文遺跡から同様の土器が出土しているらしく、そのうち国宝に指定されたのは20個ほど。私はこの火焔型土器が好きで、直に観るのは今回が3回目です。

何が好きかというと、弥生以降のシンプルな土器とは対照的な、複雑で華麗で不思議な造形が、です。環状集落遺跡から発掘されることが多く、祭祀用ではないかという説の一方、土器の底に「おこげ」があったことから実用で使われていた、との見方もある由。あのようなゴテゴテした、みるからに使い勝手の悪い、派手な土器で煮炊きしていた縄文人を想像すると、面白くてたまりません。

縄文中期の列島の人口は推定で26万人(どうやって計算?)。それでも火焔型土器の造形は世界的にも例がないらしく、それなりの古代プチ文明が存在したことの証かもしれません。しかも、弥生以降の農耕文化とは相当に異質な。

京博で観た火焔型土器は、表面がきれい過ぎてレプリカみたいだったものの、本物は本物。写真やテレビでは、ガラスケース越しながらも直に観るあの迫力は伝わってこないように思います。また次に出合える機会が楽しみです。

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