桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2017/09/17
最低賃金 その2



時給換算の最低賃金が今年も47都道府県で一斉に上がります。6年連続の2けたアップ。上げ幅は平均して25円。私が各種お手伝いをしている先でいうと、京都は856円(10月1日発効)、奈良は786円(同)、滋賀は813円(10月5日発効)になります。

即日発効なので、目下、皆さんには「一応法律なので、ご対応のほどよろしく」と伝えています。パート・アルバイトさんの時給を最低賃金プラスアルファのぎりぎりにしている会社が少なくないのが実情ですから。

最低賃金のことは昨年の同じ時期にも書きました。繰り返しになりますが、私は最低賃金を行政が決めて民間を誘導していくことには、すでに行き過ぎの観があるのでは、と考えています。目安と言いつつ、守らなければ法律違反ですから、強制です。同時に、上昇分は当然、民間の事業所負担で、国からの補てんはないので、行政にとっては虫のいい話とも言えます。

最低賃金が毎年のように上がっていくのは、労働者にとってはプラスですし、政治家も上昇を推進する構え。企業サイドも「行政が賃上げを求めるのは過度の民間介入だ」とは言い出せず、おおむね容認のスタンスです。

春闘のベアなどを経済団体に要請する政治に対し、一部の財界人や経済学者は「政治の介入は、資本主義経済を阻害する」と批判の声を上げています。とはいえ、新聞の社説に出てくるのは「中小企業には厳しい要請になるが(とりあえず努力してもらいたい)」みたいな、オマケのような決まり文句ばかり。マスコミは賃金に関しては「労働者の味方」であって、悪戦苦闘する中小・零細な事業主の味方ではありませんから、この辺りはやむなしとも言えます。

最低賃金を説明する折、私は「守らなければ、経営者失格です」などとは言いません。同時に、違反をそそのかすようなことも言わない。互いに「先生」と呼び合う業界内での付き合いには不熱心な偏屈フリーランスなので、法律の建て前を踏まえながらも行政機関の「代弁」には踏み込まず、つい余計なことを考えたり、書いたりしています。それぐらいの自由はあるはずです。


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