桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2017/03/03
元司法長官



米国のドナルド・トランプ大統領が依然、騒ぎを起こしています。私には多方面にわたる大統領の「挑発」のいちいちを取り上げる用意はありません。ただ、一つだけコメントできるのは、大統領の指名を受け、米環境保護局の長官にスコット・プルイット氏(オクラホマ州司法長官)が就任したというニュースです(日経2月18日夕刊)。

プルイット氏は米国では温暖化懐疑論者として有名とのことで、同27日の日経社説は「エネルギー産業が集まる州の司法長官を長く務め、環境規制が行き過ぎだとして環境保護局相手に訴訟を繰り返してきた」「エネルギー関連企業との緊密な交流も明らかになっている」云々と書いています。懐疑論者であることとエネルギー産業との交流には関係がある、つまり癒着している石油を中心とした産業を擁護する反環境保護主義者ではないか、と言いたいようです。相変わらずの一面的でステレオタイプな見立てです(しかも、俗耳に入りやすい)。

米国科学アカデミーの元会長、フレデリック・サイツ氏(物理学者、故人)は2000年、流行のCO2温暖化仮説には「重大な欺瞞がある」として多くの科学者に呼び掛け、京都議定書を批判する運動を起こしました。すると、すでに政治的に過半数勢力に膨れ上がっていた温暖化論陣営は、サイツ氏が石油などのエネルギー産業に近い、という非難を浴びせ、サイツ氏らを社会的に排除しようとし、成功しました。その後発覚した2回に及ぶ「クライメートゲート事件」など、懐疑論者に対する攻撃と締め出しは今も繰り返されています。プルイット氏に対する警戒感の表明も同列のものといえます。

CO2温暖化仮説には無理が多く、気候変動に関しては懐疑論にとどまる方が妥当と考え始めて30年。私はむしろ環境保護局長官になったプルイット氏が州の司法長官だったことに興味を覚えます。法曹界のリーダーの1人として、ものごとを冷静に公平に理詰めで考える人だろう、と推察することに無理はないはず。しかしメディアは、政治的に劣勢となった懐疑論を「邪論」「盲説」「トンデモ科学」とみなし、温暖化論に同調しない面々をごくひと握りの「なげかわしいへそ曲がり」と捉えているようです。

ところが、懐疑論はひと握りではなく、米国や欧州ではざっとみて「懐疑派3対肯定派7」ほど(日本では「1対9」ぐらい?)と言われ、少数派とはいえ、発言力は残っています。目立たないのは、メディアが取り上げないからです。賛否の対立が2対8でも構わない。科学論は多数決で真偽を見定めるものではないのに、支持する研究者の数で決めようとするのは、政治が科学を利用し、科学が政治に介入していることを示します。

米海洋大気局や世界気象機関は「1月の世界の平均気温は、20世紀を通じた1月の平均気温より高かった」「北極と南極の1月の海氷面積が観測史上最小になった」と発表するなど、依然として「観測史上のピークを記録。温暖化が一因」という発表を連発しています。

私はいつもこれらを疑っています。長くなるので詳細は抑えますが、米海洋大気局も世界気象機関も、過去に何度も、温暖化傾向という結論を導くための悪質な「作為」に手を染めていると批判されているからです。この種の統計発表をほとんど信用しないのは、そのためです。彼らが批判されて反省し、データの集計法を正している、と判定できるほど、対立は甘いものではありません(強硬な懐疑論者は「史上最悪の科学スキャンダル」と言っています)。なぜこうなったのか。「国連公認の御用科学」となったCO2温暖化仮説への追随、あるいは単に時の大勢から、研究予算の削減や中断を避けたいからではないか、と推測せざるをえません。

なお、譲歩して仮に上記の観測結果が正確なものとしても、それが人為的なもの、または人為的な要因が関係するものだ、という証明の材料は不足しています。単に、年々変化する自然な現象の一端かもしれません。

当欄で数回書いているように、私はむしろ、太陽物理学者の多くが予測する21世紀中の地球寒冷化を心配しています。他の政策はともあれ、トランプ大統領の主導で米国がパリ議定書から抜け出すことは、歓迎したいほどです(私は畑違いのフリーランスなので、気がねなく、こんなことが書けます。初めて当欄をご覧になった方は驚かれるかもしれませんが)。

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