桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2016/11/03
大阪万博



2回目の「大阪万博」の話が動き始めました。千里丘陵で開かれた1970年の大阪万博(エキスポ70)から55年後、2025年の開催を目指すという、さほど遠くはない先の構想です。今から9年後なので、たぶん私も存命しているはず(開催前にくたばったら、それまでのことです)。構想自体が面白く、私は、ぜひ誘致してもらいたいものだ、と期待しています。

大阪府の松井一郎知事が10月28日に発表した基本構想によると、開催は2025年5〜10月の半年間で、会場は大阪湾を埋め立てた人工島、舞洲(まいしま)。むかし大阪五輪を引っ張ろうとして果たせなかった会場予定地の「跡地」です。テーマは「人類の健康・長寿への挑戦」。会場整備費は1,200億〜1,300億円、運営費は690億〜740億円。入場予定者は3,000万人以上という大きな計画で、松井知事は「日本中の英知を結集し、世界の人々が求める健康・長寿に寄与したい」と語った(日経29日付朝刊2面)ということでした。

前回の大阪万博のとき、私は高校1年で、会場には友人や家族らと4回ほど出かけました。今も残る「太陽の塔」を見上げ、「月の石」を展示したアメリカ館、ロケットを持ち込んだソ連館はじめ、勢い込んでほぼ全部のパビリオンを見て回り、いちいち興奮していたことを覚えています。テーマは「人類の進歩と調和」。しかし、見込みを上回る入場6,400万人の混雑で「人類の辛抱と長蛇」というダジャレもあったほど。とにかくすごい人出と熱気で、開催後の決算では国際万国博覧会史上初めて黒字を出した、という盛り上がりでした。

ウィキで調べると、千里万博の入場料は「15〜18歳の青年」で600円。しかし、小遣いでは足りず、友人と城陽のゴルフ場でキャディーのバイトを繰り返し、交通費や入場料を捻出しました。会場には、ケンタッキーフライドチキンが日本で初めて登場し、ファミレスで先行したロイヤルホストが出店していたことも覚えてはいるものの、いずれも貧乏高校生には値が高く、昼食は持参の弁当で済ませていました。ひたすら懐かしく思い出します。

2回目の大阪万博構想は、開催に意気込む大阪府が手を挙げ、自公政権の官房長官も「しっかり検討する」と言っている以上、つぶれることはまずないだろう、と推測します。ただ、エキスポ70を懐かしいと思う身であっても、今は「時代が違う」とか「関西の経済界にはもう万博を支える力はない」という声は少なくないようです(日経社会面)。京阪神エリアの経済力は1970年にピークを迎え、後は下り坂、つまり千里の万博は「関西経済の『挽歌』だった」というコメントを聞いたこともあります。

46年前の千里万博では、石坂泰三という前経団連会長を万博協会の会長に引き込んだことでオールジャパンの体制が出来た、というリポートがありました。という次第で、2025年の大阪万博がローカルなイベントに落ち込んでしまわないためには、いくつもの超えるべきカベが予想されます。

当面は2025年の万博開催を検討中だというフランス・パリとの「調整」。もう一つが、やはり会場整備費の負担です。2005年の愛知万博(愛・地球博)は整備費1,350億円を国、自治体、経済界が三分して450億円ずつを負担したものの、経済界は実質上トヨタ自動車が大半を担いました。そして、いま関西にはトヨタほどの存在感を持つ大企業は見当たらないのが実状です。

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