桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2016/07/19
五分五分



東京都知事選の告示直前に、鳥越俊太郎さんが立候補を表明しました。増田寛也さん、小池百合子さんを交えた、事実上三つ巴の面白い選挙になりそうです。その鳥越さんは立候補表明の際に「(直前の)参院選で改憲勢力が三分の二に迫ったことへの危機感が出馬決意のきっかけ」云々とコメントしています。ネットでニュースを追うと、鳥越さんは、都知事選と護憲をつなげることに「あえて」という言葉を繰り返し、都政と国政の違いは承知のうえで、それでも改憲勢力には対抗していきたい、ということのようでした。

改憲が護憲か、という対立は各種世論調査を眺め渡すと、ほぼ五分五分の情勢です。「神聖不可侵の不磨の大典」として現憲法を堅持し、一字一句といえども改変を認めない志向を狭い意味での「護憲」というのなら、そういった「硬直」には入り込めないという意味で、私は広い意味での「改憲」側に区分けされそうです。ともあれ、現憲法をベースに時代情勢を加味した改定を試みる「加憲」とか、急がずにじっくり論議しようという「論憲」とか、グラデーションさまざまな五分五分の憲法論議が長く続いています。

私とトシのあまり違わない、ある評論家がこんなことを言っていました。憲法、あるいは広く戦後民主主義に対する個々の価値観は、小・中学校時代の個々の教育体験と密接に結びついており、その無意識に近い基底部分は個々が社会経験を積んでも容易には変わらない。つまり、社会に対する考えが定まらない児童・生徒のころに教師その他から教え込まれた「憲法体験」「戦後民主主義体験」はその後も執拗に付いて回る、という見立てです。一理あるように思えてきます。

むかし私が通っていた小学校、中学校はごく普通の公立でしたが、今でも思い出すのは、体育館でしきりにスサノオやヤマトタケルやアマテラスが出てくる「日本神話」系のマンガ映画を見せられたこと、逆に、日教組系の教師が多かったはずなのに「憲法」をきちんと教わった覚えがほとんどないことです。「民主主義」はいいものだ、という話を聞いて合点した記憶もありません(小学校の当時の校長は「保守反動」だった、と後に聞かされた覚えはあります)。

という次第で、誤解を恐れずにいえば、私は憲法にも戦後民主主義にもさほどの思い入れは持っておらず、しかもそれがまずいことだとは考えていません。もしかすると、世論調査で護憲と改憲が二分されている背景には、上記のような事情が介在しているのかも知れません。

五分五分といえば、英国のEU離脱・残留の国民投票もそうでした。今年秋の米国大統領選も、二大政党制ならではの展開で共和党と民主党が五分五分の接戦となると見込まれます。ただ、日本では伝統的に、インテリは断然民主党びいきで、共和党は「国内のことしか知らない、格差を是認する、米国至上主義(「偉大な米国」!)に固執した、頑迷な烏合の衆」という角度から批判されることが多く、その点、ヨソの国からの「共和党たたき」は割り引いて見る必要があるように見受けます。とくに、今回はトランプさんという、一見クセのある候補ですから、なおさらです。
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