桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2015/11/05
1日の空白



 請求手続きを代行していた障害基礎年金2級の受給開始決定がやっと出ました。年金の代行請求は4件目。いずれも受給開始、つまり私に代行を依頼されたご本人への年金支払いが始まる(始まった)ということで、代行実務の実績でいうなら4戦4勝となります。

 公的年金の裁定請求は、社労士ができる独占業務の一つ。請求のお手伝いはまだ4件なので、自慢する気はないものの、依頼された方のお役に立てて良かった、という手応えはあります。とくに今回の障害年金は、ご相談を受けてから1年半ほどかけての目標到達で、私も「ようやく」とほっとしました。しかし、年金の裁定請求は普通数か月もあれば答えが出るのに、なぜこんなに時間がかかったのか。

 それは、裁定請求の前段階として年金記録の修正が必要だったため。そして、申し立てで記録を修正せざるをえなかったのはむかし、社会保険事務所(現年金事務所)がカン違いしたからではないか、と私は考えています。年金事務所は過失を認めてはいないものの(もちろん、認めるはずがありません)、「社保事務所側に何らかの単純ミスがあったのではないか?」と推測している次第です。

 話がややこしくなるので概略を記すと、障害年金を求めた今回のご本人は女性で、20年近く前、2号被保険者だったご主人の勤め先が協同組合から株式会社に組織変更したため、勤め先の担当者が社保事務所に届けを出した。ところが、何らかの手違いで「1日の空白」が生じ、年金保険料1か月分が未納扱いになり、あおりで女性の3号被保険者としての期間が途切れ、そのままでは障害基礎年金の受給資格が成り立たない、ということが分かったのです。

 しかし、組織変更はいわば形だけのもので、ご主人は継続してそこにお勤めで、被保険者としての資格期間に中断はなかったはずでした。

 ご家族とのやり取りの中から出てきたのが、その時の提出書類の控え(元勤め先が保管していました)。従業員の2号被保険者資格取得を示す日付の欄をみると、勤め先の担当者が書き込んだ上に社保事務所の日付印が訂正風に押してあり、それが「1日の空白」が生じる原因でした。担当者が日付の書き込みを間違えたので社保事務所が訂正した、あるいは担当者が1か月分の保険料をケチったために「1日の空白」が生まれた、などの事情もありえますが、前者なら社保事務所は間違って訂正してしまったことになりますし、後者は常識的には考えにくい話といえます(元勤め先は堅実な法人でした)。いずれにせよ、当時の社保事務所窓口でのやり取りが分からない以上、断定的なことはいえません。

 こうした事情があって、ご家族は障害年金の請求を半ば諦めておられましたが、偶然私の事務所のHPをご覧になり、相談にみえたという次第です。以後、何度も打ち合わせし、まずご主人の年金記録の確認と修正に乗り出し、修正が認められて奥様の記録も自動的に正され、ようやく障害基礎年金の裁定請求が起こせることとなり、先週になって開始決定通知がご家族の元に届いた、というわけです。

 

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