桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2015/10/17
デジタル教科書



 用向きがあって、和紙・洋紙を扱う京都の紙問屋さんをお訪ねし、経営者夫婦にお会いしてきました。用件のほかで印象に残ったのは、文科省が、小・中学校で使う教科書をタブレット(携帯情報端末)に変えていこうとしており、ご夫婦が「紙の需要がまた減っていく。仕方ないね」と嘆かれていた話です。

 紙で製本した教科書の代わりに、音声や画像、動画にも触れられる「デジタル教科書」を導入しよう、というアイデア。調べてみると、今年春ごろのニュースで、文科省が導入に向けた検討会議をスタートさせたとのことでした。英語や音楽で音声を介した体験型学習などがしやすくなる、無線LANが備わった教室で電子黒板と接続すれば先生と児童・生徒や児童・生徒同士のやりとりも可能になる、などのメリットが期待できる、とのこと。パソコンが並んだ教室で、似たような授業が行われているのは既に常識らしく、デジタル教科書はそれをさらに簡便化・効率化していくものとも思えます。

 ここで予感できるのは、体験型学習やデジタル画像を使った教科の効率などを考えれば、英語や音楽に限らず、もしかすると(体育や図工など体を動かす教科以外の)座学授業の全部が1台のデジタル教科書でこなせる、という時代が近づいていることです。技術的には恐らく十分に可能なのでしょう。

 私はデジタル化の後追いに息切れが目立つ日常を過ごしており、大手出版社が手を組んで進めている電子出版にはまるで関心を持たず、ニュースは新聞で確認するまでは納得できない、という習いに染まったまま。1990年代から始まったインターネット通販に対し、「現物に触れない、あんな横着な商売はすぐに廃れる」と口走って得意になっていた、という今から思えば見当外れの記憶もあります。

 ノート代わりに自分でも書き込める1台の、あるいはいずれ下敷きのように薄くなると言われる1枚のタブレットを学校に持って行くだけでOK。そのタブレットには膨大な量の情報が仕込まれ、外部との交信も自由自在という時代が迫っているのかもしれません。

 それでも、試験管を振って化学反応にびっくりする、という理科の実験は残るはずと信じたいところ。確かめたいことがあって辞典や事典や関係図書などを苦労して探すという、私らアナログ世代の義務教育での経験はムダではなかったはず。むしろ、いたずらに効率化・情報化されるのは、目に見えないマイナスになるようにも思えてなりません。

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