桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2015/08/03
職人



 中小企業の社長から依頼を受けて準備し、手続きを代行した「職場意識改善助成金」の実施計画が労働局に承認されました。社長だけでなく、小職(私)にとっても朗報となりました。

 この助成金は、残業時間を減らし、年次有給休暇の取得増を図るという主旨のもと、労務管理ソフトの導入などでこの二つの数値目標を達成した場合、要した費用の4分の3を上限100万円まで助成する、というもの。ただ、今年と昨年のタイムカード3カ月分を比べて労働時間数を対比するなど、準備と計画実施に手間ひまがかかるため、社労士業界での評判は高くはないようです。

 しかも、小職がお手伝いしている今回の案件は計画が承認されただけで、本番はこれから。それでも、手続き代行の「職人」となることを心掛け、行政機関と交渉しながら順次準備してきたことに対する承認だけに、やっと手応えのある一歩が踏み出せた、と喜んでいます(多忙ななか、資料整理のために十二分な対応をされた社長にも、自然と頭が下がります)。

 手続き代行の「職人」と書きましたのは、手続きに沿った文書等を過不足なくそろえ、行政機関が求めていることを察知し、ごまかしなく、粘り強く作業を進めていく工程がどことなく職人に近い、と思えたからです。

 開業して実質1年半ほどのこれまで、小職は年金関係では障害厚生年金、旧令共済年金などの裁定請求を3件代行し、いずれも支給開始決定にこぎ着けています。その折、書類をまとめ上げ、ことを進めていくうえで痛感したのは、やはり職人的な手堅い作業の大切さでした。

 めざすは「職人」。根気強く、ショートカットには入り込まず、日程を先取りしていく。依頼主の手間を最小限に抑える、つまりこちらでできることは労を惜しまず、依頼主にとってのメリットを明示しながら最大限のお手伝いを重ねていく。作業のうえで「効率」を優先するのは、小職にはまだ10年は早い――。私は割とマメで、要領も悪くはないと思っている半面、こちらの都合だけで効率化(手抜き?)に気が向くと、しっぺ返しがあるのではないか。そんなことも併せて警戒しています。

 余計なことを二つ。一つは士業やコンサルタント業界で時折耳にする「裏ワザ」です。「裏ワザを駆使して経費削減」とか「裏ワザで助成金をゲット」とか……。しかし、行政機関で臨時職のお手伝いを始めて分かったのは、申請実務での裏ワザなど、行政側はほぼ全部を見抜いている、ということです。法規すれすれの灰色だが他は及第だからOKとしよう、のような。

 つまり、行政側が「裏ワザ」と称するセコい手管を見て見ぬふりをしているケースは意外と多い(もちろん基本線を守るのが前提です)。という次第で、少なくとも私は「裏ワザ」を強みに掲げる気はありません。回り道であっても、正攻法を取りたいものです。

 一方、「自力こつこつ型」の職人であっても、周囲との協調は無視できません。そこで、多様な方々とお付き合いするうえで私が最低限心掛けているのは、唐突になりますが、ヒトのことをとやかく言わないことです(私はヒトの陰口を聞くのが嫌いで、自分から口にすることもまずありません)。同時に、ヒトや周囲の環境などに責任を転嫁するようなスタンスは取らない、といったことでしょうか。これも余計な話とはいえ、おしまいに付け加えておきます。

 

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