桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2015/05/16
山のことを少し



 京都中小企業家同友会の有志が計画している「夏の富士登山」に加わることになりました。5月連休の最終日、足慣らしの第一弾で誘われた大阪、奈良府県境の生駒山山行に参加。ワンゲルにいた学生時代からの私の山歩き歴はざっと40年です。とはいえ、高さ643メートルの生駒山など軽いものと甘くみていたら、運動不足がたたり、息も絶え絶えの登りとなりました。しかし、たとえ意識もうろうとなった山歩きでも、景色を眺めながら自分の足で登り下りするのは得難い楽しみです。という次第で、以下はシーズン入りを前に、山歩きについての若干のコメント。

 ワンゲルにいたときは北アルプス、南アルプスを夏にそれぞれ12日ほどかけて縦走したほか、東日本の山々に幾度も足を運び、あの頃は重さ20〜30キロのキスリングを背負っていても平気でした。社会に出た後は九州、中四国、近畿、北陸、信州などの主だったあちこちに年間10回をめざして通い、ペースは落ちているとはいえ、今もその慣行は続けています(今年は生駒山で4回目)。

 この間、山歩きをめぐる事情はいくつか変化してきました。
 一つは、山に入る若者の数が減り、逆に中高年の姿が増えていることです。かつての夏山シーズン、北アや南アのサイトは高校生・大学生らのテントで満杯で、夜も朝もにぎやかでした。しかし、今はそんな合宿山行はあまり目立たなくなり、むしろ「大丈夫か?」と思わせるお年寄を含め、50代以上とおぼしき夫婦やグループが多数山に入っています。この変化は歴然としています。

 もう一つは、深田久弥さんの随筆『日本百名山』の人気の広がりです。単行本の初刊は1964年で、私が山歩きを始めた70年代後半でも話題にはなっていました。その後、テレビで特集番組が始まったりしてブームになり、百名山全部に登った、という方も多数おられます(古びた新潮文庫版で数えると、私も計64座に登っていることが分かりました)。

 しかし「深田百名山」には、山歩きの楽しさと山選びの目安を伝えたという功績がある一方、マイナス面もなくはないように思います。深田さんは登って楽しんだ山を個人的な好みで選んだ、というスタンスだったはず。ところが、選定された百名山が一種の「権威」と化し、その線引きが微妙なカゲを落としているようにも思えてきます。

 例えば、深田さんが生まれ故郷の近くということもあって選んだ福井県の荒島岳は、百名山に入ったため徐々に入山者が増え、私も以前、職場の同僚と登りながら、山道や山頂部が少し荒れているな、と思いました。違う年の紅葉シーズンに荒島岳の北、九頭竜川を挟んで向かいにある経ケ岳にひとり登った折は、ひとけのない山頂から迫力のある見事な火口原を見下ろして「ここはマイベスト10に入れてもいいくらいだ」と感動し、百名山の選外になったことを喜んだほどです(「日本三百名山」というリストもあり、経ケ岳はここには入っています)。

 同様に、北アルプスの東に位置する頸城山地では妙高山、火打山、高妻山が選に入り、戸隠山、黒姫山、飯綱山が外れています。私はこの6座にも時期を変えてそれぞれ登っています。そこで思うのは、後の3座も百名山の3座とは甲乙つけがたく魅力的な山々で、とくに黒姫、飯綱は選外だったことで静かな自然がよく保たれているようにみえることです。

 三つめの変化は、道路網とくに高速道路の発達と、コンビニの増加の恩恵です。日帰り山行の折に実感することで、大阪(今は奈良)を早朝に出立し、高速を走り、一般道に降りてコンビニ弁当を買っておきさえすれば、相当の遠方でも当日中に登り下りして戻れます。上記の荒島岳、経ケ岳のほか、大日ケ岳、恵那山、南木曽岳などにも軽々と行けて、便利になったと痛感。各地に新しくできた温泉施設の増加も、この変化に加えていいかもしれません。

 キリがないので山のことはこの辺で抑えます。ともあれ、8月初旬に無事、3776メートルという初めての高所まで行き着けるかどうか。富士山は見る山で、登るのは単調、だいいち夏は人が多過ぎる、という声も耳にするものの、めったにない機会なので、あと1、2回トレーニングを重ねて万全を期したい、と張り切っています。 

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