桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2015/01/18
世代論



 今回は世代論を軽めに。焼け跡・闇市派とか、団塊とか、新人類とか、ロストジェネレーションとかの「世代」です。

 世代論は3年から7〜8年ほどをくくり、その年代の男女を分かりやすく特徴づけるため、居酒屋談義などで重宝される話の切り口。私ら昭和30年前後生まれは、団塊世代の数年下、ということでポスト団塊のシラケ世代、などとテレビで言われ、新聞に書かれてきました。

 当時の歌手でいうなら、山口百恵だの、キャンディーズだのの世代です。百恵さんは私らが過ごした「時代を象徴する歌姫」で、キャンディーズの解散(1978年)に世代の男は「みんながそろって泣いた」とか。しかし、私は当時、百恵さんにもキャンディーズにもほとんど関心はなかった。昔から、今ほど偏屈(?)だったわけではありません。同い年の友人で彼女らのことを好きだとか、追いかけているとか言う奴は全然おらず、たまにテレビで観ても「ああこれがあの」という程度(熱心なファンであることを隠しているのがいたかもしれません)。

 以前、内田樹さんがブログにこんな趣旨のことを書いていました。「(1950年生まれの)私らの世代は、大多数が同時進行でビートルズに夢中だった、などと振り返ってみせることが多い。だが、あれは一種の後知恵というか錯覚。当時、ビートルズに衝撃を受けて後追いしていたのは、学校のクラスでも物好きな数人どまり。今になって『オレもそうだった』と記憶を『作っている』だけではないか」――。マスコミが話を分かり良くするために「世代」をこしらえ、後になって私らも「そうだったかもしれない」と記憶を捏造する、こんなパターンはありえます。

 その意味で、世代論は話としては面白いものの、大雑把すぎることも多い、と言えるかもしれません。

 例えば、私は社会に出て以降、ほとんどテレビを観ることなく今に至っています。災害や大事件のとき、阪神が出るプロ野球中継等は食いつくように画面に見入るものの、それ以外は他にすることが多く、あまり興味が向かいません。年末のNHK紅白歌合戦も、今では出演者の4分の3は分からない。若いのは男女それぞれ同じように見えますし、曲は覚えにくくて大同小異、歌詞は横文字をまぶした思いつき程度のものばかりです(笑い)。

 そんな具合で、私らの世代は芸能界の、ひいては時代の流れについていけない「時代遅れ」ばかりではないか、たぶんテレビも私と同様、あまり観ていないのでは、と予感してしまいます。という次第で、試しにネットで総務省の最近のアンケート「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を検索してみました。

 すると、あにはからんや、私らの世代はえらくテレビを観ています。50代がテレビを観る時間は1日平均220分、つまり3時間40分。60代になると260分、4時間20分。調査によると、10代が1日平均1時間40分で最も短く、後はトシをとるにつれテレビと向き合う時間が一本調子で増えていきます。

 ということは、私らは同世代の大勢からはみ出ているのかもしれません。百恵さんやキャンディーズが好きだったのが当時の普通で、関心がなかったというのは、ただの気取り、あるいは「記憶をつくった」だけかも。へそ曲がりでひねくれたところは今年こそ表に出さずにおこう、と思いつつ、長年の性癖は容易なことでは治らない、と実感しているところです。 

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