桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2014/10/17
年金



 「年金」をめぐる、こんなジョークを見つけました。出たばかりの駒村康平さんの岩波新書『日本の年金』が紹介しています(148頁)。欧州の新聞に載っていたマンガだということです。

 夫(=年金制度)が重病になり、タンカに乗せられて手術室に運ばれた。手術室の前で不安を募らせる家族(=国民)。手術中のランプが消え、出てきた看護師(=官僚)に結果を訊ねると、看護師はこう答えた。「手術は成功した。しかし、とんでもないことが起きた。執刀した医師(=政権与党)が死んでしまった」――。(以上、要約)

 このブラックユーモアに続けて駒村さんはこう書きます。「わかりやすい手段を使うほど政治的な反発が強まるので、各国ともいかに『わかりにくい』方法で(年金の)給付引き下げをおこなうかが、政府の腕の見せどころになっている。『不透明化戦略』である」――。

 日本の年金制度は複雑怪奇なので、手術(抜本改革)をすること自体が難しく、執刀医と看護師は手術より、化学療法(部分的な制度改定)などでお茶を濁そう、事態をやり過ごそう、とするのが通例です。上記の「不透明化戦略」は一見冗談のように見えて、その実、思い当たるところは多々あります。

 公的な年金保険に入り、いずれは年金をもらいたい側にとっても、制度は近くて遠いもの。会社員は天引きで仕方なく年金保険料を納めていますし(この点、短期保険である健康保険や雇用保険とは性格が異なります)、近年増えている国民年金保険料の未納者は「半年後のことも分からないのに、25年後、あるいは65歳からの年金受給など、想像することもできない」などと考えている方が多いようです。

 来年10月の消費税再増税と同時に、国民年金の受給資格期間が25年から一気に10年に短縮される見通しです。恩恵を受けるのは全国でざっと20万人とのこと。見通しなので、実際にどうなるかは不明とはいえ、そのほかの改革構想を含め、徐々に制度は変わっていくようにも見えます。しかしそうだとしても、今の年金制度は難解です。とってつけたようになりますが、私たちも一段の勉強が必要ということです。 

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