桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2014/01/20
パワハラ訴訟・判決



 地裁で審理されていた「パワハラ訴訟」の判決が出ました。以前にも当ブログで触れた訴訟ですが、改めて概略を示します。「中小企業の女性パートタイマー(原告)が勤務時間中、上司から仕事に関して厳しい叱責を受け、立ったままの叱責は30分に及び、ついに原告は過呼吸状態に陥って昏倒し、救急車で病院に運ばれた。原告は退職後も心身の不調に苦しんでいる。これはパワハラ被害にあたるので、被告会社と被告上司に対し、1200万円超の損害賠償を求める」ーー。

 傍聴した判決は「原告の請求を棄却する」でした。

 民事の判決は主文言い渡しだけで、理由は読み上げないため、書記官室に出向き、印紙150円分を購入して判決文を閲覧しました。コピーは出来ず、メモしただけなので以下は概略です。判決文の「裁判所の判断」は次のように判示しています。

 1)事件における上司の叱責は業務の中核に関わるもので、原告に対する、ある程度の厳しい注意には相応の理由があった。
 2)立ったままの叱責(原告側主張は30分、被告側主張は10〜15分)は配慮に欠けていたといえなくもないが、(裁判所の認定では)15〜20分程度であり、長時間といえるほどではない。
 3)証拠採用された原告宛ての同僚のメール(部長(被告上司)はあれだけ人を責め立てておいて、反省の色がみえない、云々)では、「被告が原告を叱責したことは推察できるが、暴言を吐くなど理不尽な言動をうかがわせるものではない」と認定。
 4)以上の通り、被告の叱責には相応の理由があり、違法なものと評価することはできず、被告について不法行為の成立を認めることはできない。よって、原告の請求には理由がない。

 ーーというものでした。経過全体に通じていないので、判決に対するコメントは控えます。ただ、最近のパワハラ訴訟では、人格を否定したり、傷つける暴言や中傷や迷惑行為が、業務の範囲を超え、かつ執拗に繰り返されることなどが不法行為として認定される傾向にあるようです。原告の言い分を離れていえば、判決の通り、司法は「叱責には相応の理由があり、理不尽なものとはいえず、被告に不法行為があったとはいえない」と、いわばごく常識的に判断するにとどめたようでした。

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