桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2013/11/23
投稿「京に遊ぶ」



 府社労士会の会報(隔月刊)に「支部からのメッセージ」というページがあります。その第196号(11月15日発行)に送稿した「メッセージ」を以下に少しだけ手直ししてコピーしておきます。社労士登録したばかりなので「自己紹介を兼ねて」と要請されたもの。テーマは、会報編集委員の方が指定した三つのうちの「京に遊ぶ」。ヨソで書いた原稿を載せるなんて、まるで内田樹さんのブログみたいですが、とりあえずこの点、ご容赦ください。
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 「京に遊ぶ」  南支部 高田茂弘

 大学進学のために離れるまで、私はずっと宇治市で育った。当時の人口は5万人ほど(今は約19万人)。とはいえ、生活上の不便はあまり覚えず、京都駅や四条河原町へも片道30〜40分ほどで行けた。小学生時代は、岸から容易に入れた宇治川で魚釣りやシジミ取り。平等院は当然ながら現在地にあった半面、世界文化遺産はおろか、いま市が盛んにPRしている「源氏物語のまち」の「げ」の字も当時の宇治にはなかった。

 以来40年。転勤が多かった会社勤めの後半、奈良県下に住居を定め、「選択定年退職」後の今年9月、伏見区の外れに開業社労士の事務所を構えた。府内そして京都市内で働くのは、宇治を離れて延べ12回の引っ越し後、初めて。両親は早くに転居して宇治には既に実家はなく、しかし京都は頻々と訪れてはいる。それでも、仕事のフィールドとして改めてこの地を選んだ気分は新鮮だ。

 同時に、「第2の人生」で事務所を開いた身でも、そこは久方ぶりの京都。「遊ぶ」ことも視野に入れている。加齢に伴っていつ体が弱ってくるか知れず、もしかすると余命いくばくもない、という年代に差し掛かっている。好きな「歴史」を楽しむため、早いとこ、8世紀末から今に至る寺社や史跡を改めて、または初めて実地に訪ねてみたい。四季折々のゆかしい祭事や行事や食事をフォローするのも楽しみだ。「思い残したこと」はできるだけ減らしておきたいものである。

 「駆け出しなのにそんな余裕はあるの?」という声が(自宅台所から)聞こえてくる。しかし仮に事務所が軌道に乗り、多忙で帰宅もできず事務室で仮眠、みたいな嬉しく、かつキツい状況になったとしても、なおのこと「京都を楽しみたい」という気分に駆られるのでは、と予感する。中学や高校の中間・期末試験の直前、分かっていながらも、つい勉強以外のことに手を出してしまった、みたいな。

 このあたり、どう折り合いを付けるか。考えた末、私は京都で遊ぶための前提として二つの目標を掲げることにした。

 一つは、京都商工会議所が主催している「京都検定」の受検である。毎年1回、初冬に実施される、ご当地検定の皮切りとなった有名なペーパーテスト。「千年の都」の今昔をめぐる多彩な知識を問うもので、まずその3級から受けてみたい、と考えている。3級は公式テキスト等を熟読して暗記に励めば、市内生まれでなくても何とかなるらしい。少なくとも、昨年夏に受験した社労士試験より易しいだろう。2級に上がれば名刺に書き込めるし、難関だという1級に合格すれば、社労士兼観光ガイドとしての生活も夢ではない。何より、検定を受検する際の事前準備は恐らく「京に遊ぶ」ための強みになるはずだ。

 もう一つは、京都市交響楽団の定期会員になること。若いころから管弦楽が好きで、国内のオーケストラの実演も割とたくさん聴いている。中でも京響は、華やかな楽風が持ち味の国内屈指の実力派オケとして昔から好きだった。その定期演奏会を北山通のホールで聴いてみたいのだ。市内で開業した理由の一端には京響の定演に通いたい、という憧れがあったほどである。
 ただ、定期会員になるには、目を剥くほどではないにせよ一定の出資がいる。そのためにも、早く事務所を軌道に乗せなければならない。京響の会員で居続けることが、仕事を進めるうえでの駆動力になれば、というわけだ。

 このトシになると、遊ぶことは仕事や生活の幅を広げ、奥行きをつくり、人間としてリッパになるための大切な要件だ、という気がしてくる。逃避でもごまかしでもない。好きな京都の地で気張って仕事し、気張って遊びたいと思う。私の遊びなんて、さほど芸の要らない、しかし罪もない、ささやかなものだし。
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