桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2013/10/20
昔の失言を二つ



 社労士開業のハウツウ本には「スタートダッシュの半年で収入1000万円、1年で3000万円」みたいな、ウソのようなキャッチが並んでいます。ところが、私は10月半ばを過ぎ、徐々にアルバイトの仕事が入りつつあるものの、スタートダッシュの幸運には恵まれないまま。なぜスロースタートになったのか。つらつら思うに、もしかすると、「失言癖」がどこかで絡んでいるような気がしないでもありません。

 といっても、政治家がうっかり本音を漏らして騒ぎを起こす、といった類の失言癖ではなく、長きに及んだ記者生活の中で身に付いてしまった、無遠慮なもの言いの習慣と言った方がいいでしょうか。私は記者としてはマイルドな方で、よくあるコワモテタイプ、ごり押しタイプではなかったはず。しかしそれでも、つい聞きにくいことを聞いてしまう、言わなくてもいいことを言ってしまう、という不用意な失言が少なくありません。はっきり覚えているだけでも二つの反省例があります。

 一つは1991年秋ごろのこと。私は大阪経済部の金融担当で、場所は日銀大阪支店内の関西金融記者クラブ。90年4月に合併してできた「太陽神戸三井銀行」の行名が「さくら銀行」に決まった、という記者発表の時です(その後、さくらは住友と合併して三井住友銀行になりました)。発表自体は東京の日銀本店がメインで、大阪では確か副頭取をヘッドにした補助的な会見。そんな気安さもあったのか、メディアを含め30人ほどがいた席上、私はこんな質問をしてしまいました。

 「『さくら』というと、パッと咲いてすぐに散る、というイメージがありますね。はかない行名です。決定までにそんな辺りの論議はなかったのですか?」。会見場は一瞬、しらけました。聞かなくてもいい、アホな質問です。

 もう一つは93年の秋。東京経済部に異動して貿易担当になり、竹橋にある総合商社・丸紅の広報部にあいさつに出向きました。転勤前、大阪経済部にいた私は雑談の中で丸紅大阪本社に触れました。「大阪本社ビルは(大阪の)本町にありますね。『墓石』みたいに見える」。丸紅の方々はオトナですから、笑っておられましたが、これも、言わでもがなの、たわけた失言です。

 記者には一般的に、聞きにくいことも平気で聞いてしまう性向があります。いまお会いする社労士の方々は言葉つかいが丁寧で、思慮深く、上記のような浅はかなことを言う方はほとんど見掛けません。ところが、私は二つの失言以外でも「立ち入ったことをうかがいますが」とか「ヘンなことを聞きますが」と前ふりして、これまでどれだけ無礼・非礼・失礼なことを言ったり聞いたりしてきたことか。習い性になっているだけに、今も時々やらかしているに違いありません。冷や汗ものです。しかも私は、日ごろポーカーフェイスで、真顔で冗談を言う癖があり、冗談のつもりが冗談になっていないことがあります。重々気を付けたい、と思います。

 この項のおしまいに、民放の女性リポーターによる有名な失言というか、言い間違いを一つ。北関東だか信州だかの水害現場、土砂崩れで住人が生き埋めになった民家跡で、マイクを持った彼女は悲痛な表情で語りました。「(現場に駆けつけた)家族の方々は悲しみのズンドコにあります」。当然ながら、ここは「ズンドコ」ではなく、「どん底」というべきでした。
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