作成日:2026/05/04
洋画を5本
またアマゾン・プライムで観た映画を5本。前々々回送信の邦画に続き、今
回は「キネマ旬報ベストテン」の外国映画部門から選びました。キネ旬上位ラ
ンクの邦画は地味ながらもシブめ、一方の洋画は派手かつインパクトのある作
品が多かったようです。 ■イエジー・スコリモフスキー監督 『EО イーオー』(2023年4位) サーカスのショーに出ていたロバが一座の解散によって追い出され、やがて
ポーランドからイタリアへ放浪の旅に入り込みます。ポーランドの著名な映画
監督によるユニークな伊波合作のロードムービーということで、EОはロバの
名前。舞台裏の後日談では、よく似たロバ6頭を用意して交代で主役を務めさ
せ、ロバの穏やかさ・健気さと、人間のおかしさ・愚かさを描き出そうとした、
ということのようです。 カメラはゆっくりと動くロバに焦点をあて、サーカスで相手役・世話役だっ
た女性を探させながら、行く先々の人間との間で起こるいくつものにぎやかな
騒動を追っていきます。ロバの鼻息が大きく聞こえ、背後の音楽も独特で印象
的でした。哀愁と微かなユーモアを感じさせるいい映画です。キネ旬をチェッ
クしていなかったら観る機会もなかったように思います。 ■エドワード・ベルガー監督 『教皇選挙』(2025年3位) カソリックのローマ教皇が死に、後継者を選ぶためバチカンに世界各国から
枢機卿らが集結し、数日にわたって新教皇を選び合うのが「コンクラーベ」。
100人を超える彼らが陰謀、欲得、差別、スキャンダルの密かな情報が飛び交
うなか、疑心暗鬼が重なって何度も絞り込みのための選挙を繰り返します。 米英合作の一種のサスペンス映画といえばいいか。意外な最終選挙結果の後、
さらに現代風のひとひねりがあり、面白く観ることができました。世界14億人
の信者を擁するとされるカソリックは強圧的な権威の半面、映画ではその世俗
的な一面がよく表現されるようです(『フェリーニのローマ』とか)。この映
画でも俗っぽい枢機卿らの争いを誇張して描いているようにも思えます。 ■ジョナサン・グレイザー監督 『関心領域』(2024年3位) ナチス・ドイツがユダヤ人を大量に虐殺・処理したポーランドの旧アウシュ
ヴィッツ強制収容所。その所長を務めたルドルフ・ヘスは当時、収容所に隣接
した近代建築風の所長宅にて妻、子供5人らとともに住んでいたということで
す。同姓同名のナチス副総裁とは別人のようながら、映画のなかのルドルフ・
ヘスは家族とピクニックなどを楽しむ一方、自宅で循環式焼却炉の導入など収
容所の「荷物」の処理法を部下らと相談し合ったりします。 ジェノサイドを想起させる現地の不気味さがどこまで描かれているか、判然
とはしません。描写は一貫して抑え気味ながら、所長宅の背後に見える収容所
から絶え間なく銃声や悲鳴や立ち上る煙、さらに得体のしれない音と音楽が流
れます。途中、所長宅で働く地元の少女が収容所への差し入れのため、深夜に
外出するエピソードも挟まれているものの、分かりづらい。 米英波の合作。タイトルは「ザ・ゾーン・オブ・インタレスト」の和訳で、
率直に申し上げてヘタです。というか、近年の映画のタイトルは和洋に限らず、
一見して何のことか見当のつかないのを多く見受けます。その典型かもしれま
せん。 ■ショーン・ベイカー監督 『アノーラ』(2025年2位) 米国ニューヨークで「ストリップガール」を生業とする若きアノーラが、ロ
シアのオルガルヒ(新興財閥)のひとり息子イヴァンと知り合い、恋に落ち、
結婚するも、ロシアから両親が駆けつけてその仲を引き裂く、というストーリ
ー。結末まで書いてしまうのは、中途からそんな展開が読めてきてその通りに
なったから。ネタばらしになって申し訳ないことです。 とはいえ、アノーラ役のマイキー・マディソンの演技は迫力があります。ア
ノーラとイヴァンの露骨な交感シーンも数回出てきますが、いやらしさはあま
り感じさせない。むしろ「クソ野郎」「サイコ野郎」「変態野郎」等のアノーラ
がイヴァンらに連発する言葉の方がいやらしく、かつ映画的に効果があるよう
にも思えます。 ■ジャック・オーディアール監督 『エミリア・ペレス』(2025年6位) 主にメキシコを舞台にした、キャストがスペイン語を使うフランス映画との
こと。メキシコシティで暗躍する犯罪組織のボスが、小さい頃からの「女にな
りたい」という欲望を捨てられず、イスラエルの外科医に性適合手術をしても
らい、男だったときの女房と再会する、という今時風のストーリー。ボスに外
科医を紹介するのがドミニカ出身の女弁護士で、展開は込み入っているものの、
難解ではなく、面白く楽しめました。 ボスの男時代と、半ば以降の女時代は男女2人の演じ分けかと思いきや、同
じ女優(カルラ・ソフィア・ガスコン)が性適合手術前後を通しで演じている
とのこと。そればかりか、ウイキによると、この女優自身、トランスジェンダ
ーを自伝にて公表し、男女いずれをも演じられる、とのことでした。世界的に
そんな時代になったということのようです。
















