桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2025/11/02
事件の社会的意義



 3年前の7月8日、奈良市・近鉄西大寺駅前で起きた安倍晋三元首相銃撃事
件の公判が10月18日、奈良地裁で始まりました。山上徹也被告は起訴事実を
認め、裁判員裁判は情状をめぐっての攻防になる見通しとのこと。  その初公判前のマスコミの動きのうちで最も不快だったのは、毎日新聞がメ
ール配信している10月15日付の会員向け「ニュースレター」で「10月下旬か
ら本紙で連載企画『凶弾』を始めます」との告知文を載せ、末尾に「事件の社
会的意義を改めて振り返ります」と書いたことです。  配信後、批判を集めた同紙は17日、謝罪のうえ「事件の社会的意義」を「事
件が社会に与えた影響」に訂正してニュースレターを再配信。私はニュースレ
ターの会員ではなく、左記はネットニュースで知りました。ぐったりするとい
うか、アゼンとする、というか。連載企画の告知文を書くのは若手記者ではな
く、経験を積んだキャップかデスククラスのはず。だとしたらなおさらタチが
悪い。うっかりミスではなく、配信するとき「これでいい」と考えていたので
は、とむかし同じ業界にいた私は推測します。  銃撃事件のことは発生日以降、さまざまなニュース媒体でフォローし、私自
身、数日後現場に向かい、西大寺駅前にておびただしい方々が列をなして献花
し、多くの方々が泣いているのを見ています。しかし、マスコミ報道は山上被
告の生い立ち、銃撃までの足取りの一方、被告が恨んでいた統一教会と政治家
との関係の追及に重点を移していきました。  やがて被告が安倍元総理を銃撃したことには情状酌量の余地がある、被告の
犯行の動機にはやむをえない一面があった、ついには元首相の死亡は自業自得
に近い、といった意見や感想や思い込みや気分が見え隠れするようになります。  マスコミは被告をかばい、減軽や助命を望んでいるようにも見えます。被告
側には大量の差し入れや助命嘆願署名などが届いているとのこと。あげくが「
事件の社会的意義を振り返ります」です。言うまでもなく、計画的なテロに「
社会的意義」などありません。絶無です。謝罪し、訂正した同紙の名をあえて
挙げたのは、ご存じの方もおられるとおり、同紙が私の古巣だからです。
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