桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2025/03/17
紫苑交響楽団



 公私に依然忙しく、余裕のない毎日が続いています。体調もいまひとつ。そこで、
今回はやむなく3月9日日曜、府立植物園の東隣にある京都コンサートホールで楽
しんだ「紫苑(しおん)交響楽団」の定期演奏会について。  クラシックというか管弦楽の話は、興味のない方にとってはキザで退屈で分かり
にくいだけのようです。ウンチクが先行すると嫌味でもある。しかし、他にめぼし
い話題もなく、上記の事情ご賢察のうえ、以下、ご寛恕願えれば、と存じます。
 紫苑交響楽団は2000年の設立で、高槻駅そばに練習場を借りて年に2回定演を
開いているメンバー90人ほどのアマチュア楽団ということです。楽団名を耳にし
たことはありましたが、定演を聴くのは初めて。  プログラムの最初は、リストの交響詩「前奏曲」。むかし丸大ハムのテレビCМ
で流れていた15分ほどの豪勢な曲です。「レ・プレリュード」といった方が通り
がいいかも知れません。派手さはないまでも、よくまとまった良い演奏でした。  「前奏曲」で感心し、続いたのはモーツァルトの交響曲35番「ハフナー」。古典
形式の内側にあって軽快・繊細な多くの楽曲を生み出したこの天才は、公式には41
本の交響曲を残しています。このうち、不吉な映画『アマデウス』でしきりに流れ
た25番のほか、31番以降に秀作が揃うといわれます。  作曲した場所や献呈先等を示す標題でみると、31番パリ、今回の35番ハフナー、
36番リンツ、38番プラハ、41番ジュピター。これら円熟期の交響曲では、標題の
ない40番(ト短調)が特に有名です。しかも、39〜41番は、借金まみれで病死す
る前の32歳の折、1カ月半のうちに続々と完成させたとのこと。推敲の跡がほとん
どない「丸文字」風の自筆譜面からは、天才のほとばしる才気が窺える、と言われ
ます。  モーツァルトの曲は当時の宮廷音楽の制約を超えず、メロディーもリズムもハー
モニーも似通っています。私も40、41番は区別できますが、31〜39番は「どこか
で聞いた覚えはある。ただ、何番の何楽章かまでは即答できない」というレベル。
ベートーベンの9曲、ブラームスの4曲、シベリウスの7曲などは、少し聞くだけ
で恐らくは言い当てられるのに比べると、モーツァルトは際立った個性の主張を感
じさせない、ともいえます。  さて、続くコンサートのメインは、フランクの交響曲です。この演奏が、アマチ
ュアとは思えないほどに見事でした。セザール・フランクは19世紀フランスの音楽
家・オルガン奏者で、パリ音楽院で教授を務め、後進の育成に熱心だった半面、残
した作品は多くはなく、交響曲もこの1曲だけ。  私はこの曲が入ったCDを3枚(サンサーンスの3番との抱き合わせが多い)持
っていますが、ホールで聴いた今回が最も感動しました。弦楽5部の高音から低音
までのめまぐるしい動きが、ナマで聴くとくっきり分かり、金管木管のメリハリと
合わせた最後の第3楽章は鳥肌が立ちました。もうけものでした。客演指揮者(伊
藤翔さん)が良かったのかもしれません。
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