桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2025/03/03
残業代



 今回も業務関連。残業代は労使間の古くて新しいテーマです。法律は原則1日
8時間、1週40時間を超える時間外実労働について、超えた時間に応じた割増賃
金の支払いを使用者に求めています。  時給単価をベースに時間外は25%増し、月60時間以上の時間外はさらに25%
加算、休日労働は35%増し、午後10時〜翌午前5時の深夜労働はその時間帯で
さらに25%を加算する、という計算法も定まっています。  労働時間はタイムカードや出勤簿への記入、出先からの直行直帰の連絡、スマ
ホやタブレットからの通信などで記録されるのが一般的。残業は本来、所定時間
内に仕事が終わらない、やむをえない業務上の必要からの業務の時間延長で、使
用者側が的確に記録し、月々の給与計算時に算定されていくもの。  ですが、上司や同僚が仕事している手前、早々と帰るのは気が引ける、といっ
た動機の「(仕事をしない)ダラダラ残業」もむかしは結構ありました。給料に
占める残業代の比率が高く、時間外の加算がないとやっていけない、とダラダラ
残業を続けるケースもあったようです。  逆に、現に時間外に仕事しているのに残業代がつかない、タイムカードを打刻
させた後も業務が続いている、あるいは時間管理がずさんで残業時間を計測せず、
残業代などついた試しがない、という「サービス残業」も(いまだに)一部で横
行している、と聞き及びます。  10年以上も前からですが、労働時間を管理していくうえで、残業はさせないの
が基本、しかし業務上欠かせない事由があるときは例外的に「会社が指示」した
時間外労働だけを残業代の対象にする、というルールを採用し、就業規則に規定
する事業所が増えてきました。「会社(直属上司等)の指示」は運用上、労働者
の自主性を尊重した「労働者からの申告」及び「申告に対する会社の承認」と読
み替えることも可です。  労働者の健康管理・福利厚生面から「残業はなるだけ減らす」という時間外労
働の抑制を掲げる監督署サイドからも、「会社の指示」又は「労働者の申告と会
社の承認」という、労働時間管理の手法は是認されています。そんな時間管理を
徹底させれば「ダラダラ残業」も「サービス残業」も根絶できる、というのが建
て前です。  退職する折、自分でメモっていた連日の退社時刻を示し、未払いの残業代があ
る、請求上の時効は3年だから36カ月分を支払え、と主張する労働者が時折いま
す。私も最近、そんな趣旨の相談を受け、今回のブログもそれに触発されたもの
です。しかし、未払いの残業代があるはずという事後的な主張は、就業規則や労
働協約に「会社の指示」(又は「労働者の申告と会社の承認」)」というルール
が示され、毎月の給与計算に月々の残業代が既に反映されている場合、追加で支
払えと要求する根拠はなくなります。  今は上記のような次第もあり、労使ともに時間外や休日労働に対する意識が高
まっているようです。とはいえ、私らのような昭和世代は、前職の現役時代(今
も現役の自営業ですが)、自慢でも何でもなく、夜遅くまで働くときでも残業代
など念頭になかったし、働くほどに充実感がある、だから時間外にかかわらず仕
事しているという気運がありました(今はやりの年次有給休暇など取った覚えが
ありません)。時代の移り変わりをつべこべ申し述べても詮ないことですが。  なお、前回のブログで報告した、ハロワ窓口の誤った説明(?)による「育児
休業給付金」の一部不支給案件は、ご本人の「今さらおおごとにしたくない」と
いう意向を尊重し、不服審査請求は断念するに至っています。
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