桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2024/09/02
病後の映画4本



 新型コロナから回復した後も調子いまいちが続き、こんなときはレンタルの
DVDで気を紛らわせるのが良策。ということで、以下をPCのドライバーで
観ました。邦画ばかりで、なぜか地味で暗めのものが多くなりました。ご寛恕
ください。 ■平山秀幸監督 『閉鎖病棟 それぞれの朝』   2019年11月公開。作家兼精神科医の帚木蓬生(ははきぎ・ほうせい)さん
の山本周五郎賞受賞作『閉鎖病棟』(1995年)が原作。多数の精神病患者が登
場するヒューマンな長編小説で、刊行当時、感心して読み終えた覚えがありま
すが、それももう30年近く前のこと。笑福亭鶴瓶を主役とする今回の映画化を
観て、原作はこんな話だったかな、という戸惑いを覚えました。  とくに閉鎖病棟という割には、映画の舞台になっている信州の精神病院は開
放病棟さながらで、ヒトが容易に行き来しています。しかも、医師や看護師が
どのように患者と向き合っているのか、平山監督が書いたシナリオでは漠然と
しており、つまりアラやスキやザツな箇所が目立ち、思ったほど感銘を受ける
ことなく終わりました。 ■渡辺一貴監督 『岸辺露伴ルーヴルへ行く』   2023年5月公開。名前だけは聞いたことがある漫画家・荒木飛呂彦さんの
少年誌での大型人気連載『ジョジョの奇妙な冒険』(私は全く知らず)から抜
き出したサスペンス劇画の実写化、といったことのようです。  世界的に有名な漫画家、岸辺露伴が「これ以上にない黒」で描かれた絵を探
し求めてパリのルーヴル美術館の地下に入り込み、江戸後期の日本の絵師の秘
話を絡め、基底にあるサスペンスの因果にたどり着く、といったお話のようで
す。しかし正直なところ、最初から最後まで何のことかよく分からないままで
した(分かったフリはしない方がいいような気もします)。もっとも、映像はき
れいで、高橋一生ほかの配役も熱演。つまらなくはなかった、とは思います。 ■成島出監督 『銀河鉄道の父』   2022年キノフィルムズの制作。岩手・花巻の裕福な質屋に生まれた詩人・童
話作家の宮沢賢治と、その実父政次郎を中心に据えたノンフィクションタッチ
の佳作といえます。  宮沢賢治に菅田将輝、政次郎に役所広司が扮し、手ごたえのある出来上がり。
とくに菅田将輝は宮沢賢治になりきっているようで雰囲気がよく、37歳で政次
郎らに看取られて死ぬまでの賢治の息遣いと懊悩をうまく表現しているように
思えました。背後に描かれる岩手の自然の情景にも感心しました。 ■中江功監督 『Dr.コトー診療所』    沖縄・志岐那(与那国)島に残るただ一つの医療機関「Dr.コトー診療所」
を舞台にした医療ヒューマンドラマです。漫画家・山田貴敏さんの長編コミッ
クが原作ということで、フジテレビで2003年と2006年にドラマ化された由。
私はコミックもテレビドラマも知らなかったので、新鮮な目で観ることができ
ました。  テレビドラマと同様、主役の診療所外科医を吉岡秀隆が演じ、ここに柴咲コ
ウや小林薫、時任三郎らが重なり、いい展開になっています。台風による多数
のけが人に対し、重症軽症の患者を選別して診察するトリアージの描かれ方が
明快で、一連のラストシーンも、ファンタジーの気配が窺えるとはいえ、安心
して観終えることができました。
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