桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2023/05/17
山の辺の道



 大型連休の合間、歴史に現れる最古の道(幹線道路)といわれる、奈良盆地
の「山の辺の道」を歩いてきました。  近鉄桜井駅で下り、道案内に沿って北上し、近鉄天理駅に至る約16キロ。盆
地の東側に南北に連なる三輪山、高円山、春日山などの西側山麓を辿る幅2メ
ートルほどの緑濃い、ほぼ平坦なルートです。全部を踏破したのは初めて。ハ
イキングする老若男女の姿が絶えず、ところどころ行列ができる賑わいでした。  仏教伝来の地、三輪山全体をご神体とする大神神社、長岳寺、石上神宮、さ
らに天理教本部の異彩を放つ建物群など、見どころ、歩きどころが多数ありま
す。しかも、数分ごとに詳しい案内板や石碑があり、読んでいくと古代史の気
配が感じられて面白い。  とくに惹かれたのは、大中小で200基を超える両サイドの古墳群、なかでも
ルート前半の西側に大きく横たわる箸墓古墳です。造営3世紀とも4世紀とも
いわれる墳長278メートルの前方後円墳。3世紀半ばなら西暦248年に死んだ
とされる卑弥呼の墓、いや4世紀に入ってからの造営で卑弥呼の養女にあたる
台与(トヨ)の墓ではないか、などと邪馬台国所在地論争に絡めてよく話題に
なる古墳です。  邪馬台国論争は当欄でも以前書きましたが、私は(あちらに8年ほどいたた
め)心情的には北部九州説に引かれ、しかし関連本や発掘ニュースを踏まえれ
ば畿内説でやむなしか、とも考えています。箸墓そばでは大型の纏向(まきむ
く)遺跡の発掘が続き、いずれ「纏向イコール邪馬台国」説が固まるときが来
るかもしれません(九州説陣営は大いに反発するでしょうが)。  邪馬台国論争で引用される、ほぼ唯一の史料が「魏志倭人伝」。役人陳寿が
まとめたとされる倭人伝には、邪馬台国までの距離について「水行10日」「陸
行1月」などの記述があり、方角と併せて九州説、畿内説のいずれに当てはま
るかとの論争があります。  これに対し、実際に邪馬台国に出掛けて調査した部下の「出張手当」を水増
ししてやるため、陳寿は倭人伝で距離を2倍、3倍にして記述した、それを割
り引けば、中国本土から遠い畿内ではなく、九州説の正しさが裏付けられる、
という冗談もあります。そんなやくたいもないことを考えながらの、心地よ
い6時間ほどのウオーキングでした。
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