桂川通信コメント
桂川通信コメント
作成日:2023/03/03
高野山町石道



 和歌山県北部、紀ノ川沿いの九度山町。2月下旬、ここから高野山の大門に
つながる「高野山町石道(ちょういしみち)」を歩いてきました。  空海による9世紀の開山以来、高野山にお参りする往還路のうち最も西にあ
る主要ルートで、13世紀には鎌倉幕府執権の北条氏らが整備して寄進。以来
800年にわたり多数の参拝客でにぎわってきました。熊野古道などと共に世界
遺産に登録された、由緒ある参詣道です。町石道とは、道のり1町(約109メ
ートル)ごとに石柱が建ち、現存する180本が大門までの道標になっているこ
とに由来します。  京阪、大阪メトロ、南海を乗り継ぎ、9時半に南海・九度山駅。歩いて10分
ほどの慈尊院が町石道の入り口です。九度山は大坂冬の陣夏の陣で奮戦した真
田幸村が大坂城に向かう前、徳川方から14年間、蟄居させられていた場所とし
て有名です。町役場そばには史跡も多く、六文銭の旗印を模した観光用ののぼ
りがあちこちにあります。  慈尊院から長い石段を上がり、雑木林の緩い坂を辿っていくと、やがて紀ノ
川が一望できる展望台に到達。慈尊院から大門まで23キロもあり、ガイド本に
よると所要は7時間。私は昨秋、京都一周トレイルを日数かけて歩き、当ブロ
グにも連載しました。その一周トレイルの最長コースは11キロほどで、町石道
はその倍はあります。  ただ、高野山北西部の尾根道を辿る町石道は、幅2メートルほどで歩きやす
く、ゴルフ場の横を通ったり、イノシシ防御柵を張った畑を横切ったりしなが
ら、徐々に高度を上げていきます。昔は老人でも1日で歩いたという参詣道な
ので、きつくはありません。実際、道中は快適で、セーター着たままでも暑く
もならず。何より、信仰篤い無数の人々が大昔から往来を続けていたことの余
韻のようなものが歩く先々に感じられ、清々しく思われてきます。  しかし一方、行けども行けども高野山には近づけない、といった気配も続き
ます。結局、夕方の手前、行程3分の2ほどの矢立峠にて「大門に着く頃はも
う日没。無理せず後は次回に」と潔く断念し、南海・紀伊細川駅に降り立って
帰途につきました。3月中下旬には、もっと春めいた町石道の残り3分の1を
歩こう、と考えています。町石道にとどまらず、今年は歩くことに一段とのめ
り込みそうな雲行きです。
お問い合わせ
高田社会保険労務士事務所/〒630‐0223 奈良県生駒市小瀬町343-11/TEL&FAX 0743-76-6344/携帯電話 090‐9881‐5702

メールでのお問合せ